
■快調に飛ばす米国株
米国株が快調に飛ばしています。いまこれを書いている11月25日ザラバの時点でナスダック総合指数は年初来+29.6%、ダウ工業株価平均指数は年初来+20.0%となっています。
相場が高いことは大いに結構なのですが、これだけ相場が強いと(もしやこれはバブルなのでは?)ということが頭をかすめます。
そこで今日はバブル相場について書きます。
■過去のパフォーマンス
まず1950年から現在までのダウ工業株価平均指数の年間上昇率十傑は下の年になります。
今年のダウ工業株価平均指数の上昇率は20.0%なのでトップ10には入っていないということです。
次にナスダック総合指数の1971年(指数が開始された年です)から現在までの年間上昇率十傑は下の年になります。
今年のナスダック総合指数の年初来上昇率は+29.6%ですので僅かにトップ10に届かないわけです。
上の表を見て気がつく点は1995年(+39.9%)、1998年(+39.6%)、1999年(+85.6%)と90年代後半に素晴らしいパフォーマンスが集中していた点です。
1990年代後半は「ドットコム・バブル」の時代として知られています。当時のパフォーマンスがいかに「狂っていた」がうかがい知れます。
次にナスダック総合指数の1971年から現在までの下落率ワースト10の年を見ると下のようになります。
これを見ると上述の「ドットコム・バブル」の反動で、2000年(-39.3%)、2001年(-21.1%)、2002年(-31.5%)と強烈な下げ相場が続いたことがわかります。はしゃぎ過ぎた罰が当たったわけです。
しかし「これはバブルか?」という視点からは今年の上げ相場はスケールの面でいまひとつ上昇率が足らないことは明らかです。
■株式バリュエーションからの考察
次にポピュラーな株式バリュエーションの尺度である株価収益率(PER)から見て、現在の相場がバブルなのかどうかを考えてみましょう。
調査会社ファクトセットによると向こう12か月のS&P500指数の予想一株当たり利益(EPS)に基づいた株価収益率(PER)は17.6倍です。
過去5年間の平均値は16.6倍です。
すると現在のバリュエーションは平均より高いのだけれど、割高な幅は少しだけです。通常、バブル相場ではべらぼうなPERがつくことを考えれば、17.6倍のPERを「バブルだ!」と決めつけるのはムリがあります。
さらに株式バリュエーションに密接にかかわってくる市中金利は、いまとても低いです。米国10年債利回りは1.76%であり、これは高いPERを正当化できる低金利です。
■結論
現在の米国株は上昇率の点からもPERの点からも「バブルだ!」と決めつけるには少し物足りない水準です。勿論、相場の事ですから上昇することもあれば下落することもあるでしょう。ですから今のNY市場がバブルでなくても株価は下がることもありうるのです。
それを断った上で11月から1月にかけては例年、経験則的に株式市場がとても強い時期ですので必要以上に警戒し、相場から完全に降りてしまうのは拙い戦略だと思います。