次のFOMC記者会見の見どころ

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■次のFOMC

次の連邦公開市場委員会(FOMC)は1月28・29日に開催されます。

そこでは現行の政策金利1.75%が堅持されるというシナリオが強いコンセンサスとなっています。

それを知るにはデリバティブ取引所CMEが発表しているCME FedWatchのウェブサイトが参考になります。なおアメリカの政策金利はフェデラルファンズ・レートであり、略してFFレートと呼ばれることもあります。

1月17日のフェデラルファンズ先物の取引価格から逆算すると市場参加者は83.9%の確率でFFレートが現行の1.75%のまま据え置かれると織り込んでいます。

その構図はその次のFOMCである3月18日も全く同じです。実際、11月5日のFOMCくらいまではFFレートは全く動かないと市場参加者は考えています。

しかし今年最後、つまり12月16日のFOMCでは下に見るように1.5%という意見と1.75%という意見が拮抗しており、ひょっとすると今年初の利下げが12月に起こる可能性が示唆されています。

言い直せば「政策金利は今年いっぱい現行の1.75%が堅持されるというのがメインシナリオだけどリスクはダウンサイドだ」ということです。

実際、パウエル議長も「とうぶんFFレートをいじる気はない!」ということを明言しています。

■見渡す限りリスクは無い?

ただそれでは今後しばらくのFOMCは全く注意を払う必要が無いのか? と言えば、それはそうではありません。

なぜならこのところ株式市場は急激に上昇しているからです。

実際、S&P500指数の向こう12か月の一株当たり利益(EPS)に基づいた株価収益率(PER)は18.7倍にまで上がってきています。

断っておきますが、これは「危険水域」というほど高くはありません。
しかし「もう割安じゃない」ということは誰もが認めざるを得ない事実だと思います。

このように株価がスルスルと上がっている局面では連邦準備制度理事会はバブルに対して警戒を強めます。

■バブル退治はFRBの最優先課題ではない

なおバブルを未然に防ぐことはFRBの優先順位からすればずっと後の方、つまり優先順位は低いです。

FRBが米国議会(=FRBのボスです)に対して責任を負っていることは①雇用の最大化と②インフレ率を2%で安定させること、の二つです。

幸い、いまは歴史的に低い失業率ですしインフレ率もFRBのターゲットである2%に肉薄しています。つまり「完璧」に近い手綱さばきだということです。

FRBの使命がほぼ達成されているわけですからFRBのメンバーには余裕があります。そういう余裕があるときに、遠い将来のことをいまから心配しておこうという気になると思います。

その遠い将来の懸念とは、長く低金利が続いたことで経営者や投資家の態度が横着になり、過度のリスク・テーキングを平気でするようになるということです。つまりバブルの発生です。

■このキー・ワードに注意すること!

FRBがバブルを論じる際のキー・ワードは「資産価格」になります。

断っておきますが前回のFOMCの記者会見ではパウエル議長は「資産価格は適正だ」という意味の発言をしています。だからこれまではそれは問題にされてきませんでした。

しかし前回のFOMC以降、またまた相場はズンズンと騰がったので、今後はFOMCの記者会見でこの「資産価格」という言葉がどういう文脈で使用されるかに注意を払う必要があると思います。

パウエル議長が「資産価格が上がり過ぎている」ということをほのめかせば、FRBの次のアクションは冒頭で説明したような「利下げ」ではなく、逆に「利上げ」リスクがあることになります。

その場合、マーケットは虚を突かれるリスクがあると思います。