
■製造業購買担当者指数
1月の世界各国の製造業購買担当者指数が発表されました。世界全体の製造業購買担当者指数を集計したJPモルガン・グローバル製造業PMI指数は生産と新規受注の好調を受けて12月の50.1から1月は50.4に改善しました。
とりわけインドの改善が著しかったです。その反面、ドイツやユーロ圏は改善が見られたものの本格的な回復とはなりませんでした。
なおこのデータは新型コロナウイルスの影響に関し世界の購買担当者がその深刻さに気がつく前の調査結果ですので来月以降は再び悪化する懸念があります。
■インド
インドの1月の購買担当者指数は55.3と過去7年半で最高の数字でした。
インドの場合、中国との貿易は比較的少ないため、2月以降も新型コロナウイルスの影響は限定的だと思われます。
■中国
中国の1月の製造業購買担当者指数は51.1でした。
指数は景気拡大と景気縮小の境目である50.0より上の水準にあるため、まだ景気は拡大しているのですが、勢いはだんだん衰えています。
新型コロナウイルスの材料で今後この数字は間違いなく悪化すると思われます。
■ドイツ
ドイツの1月の製造業購買担当者指数は45.3と改善を見ました。
しかし絶対的な水準はチェコ(45.2)に次いで世界で二番目に低水準です。ドイツの製造業は中国の経済活動と密接に関連しているので、今後の数値の悪化が懸念されます。
■ユーロ圏
1月のユーロ圏製造業購買担当者指数は47.9でした。
こちらも悪化に歯止めがかかったように見えます。
■米国ISM製造業景況指数
一方、1月の米国のISM製造業景況指数は50.9でした。
生産、新規輸出受注、受注などの項目が大幅な改善を見ました。
■まとめ
今回の製造業購買担当者指数は、先の連邦公開市場委員会(FOMC)の記者会見でパウエル議長が「足下の製造業購買担当者指数は少し改善基調にあると思う。ただ新型コロナウイルスの発生で今後の展開は予断を許さない状況にある」と説明したのと全く一致する結果に終わりました。
つまり新型コロナウイルスが長引かないシナリオでは世界の経済はこれから再加速する可能性も未だ残っているのです。
その反面、新型コロナウイルスが長引くようだとそれは世界の景気に影を落とします。
新型コロナウイルスの新しい患者数の推移に注意を払いたいと思います。もし増加のペースが鈍っているようなら世界景気へのネガティブ・インパクトは限定的だと思います。