2兆ドルの景気支援策が早く議会で可決されることが望まれる

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■現在の米国の状況

これを書いている3月24日の時点で米国の新型コロナウイルスの感染者数は5万1千人を超えました。

これまでにニューヨーク、カリフォルニア、ペンシルバニアの各州で外出禁止令が出ています。その他の地域でも住民は外出を最小限に控えるようにということが呼びかけられていますし学校も全米の3分の1で休校になっています。

問題はこのような外出規制が経済にどれだけ影響を与えるか? ということです。

■サービス業は多くの人を雇用している重要なセクター

今回、影響を受けているのは主にレジャー・飲食店・ホテル・小売などのサービス業の労働者であり、彼らは全米の就業人口で大きな割合を占めます。

■生活のやりくりが困難に

彼らの大部分は月給制ではなく働いた分だけ2週間ごとに時間給を貰うスタイルの雇用形態です。だから「来週からはとうぶんの間、出社に及ばず」と言われてしまえば正式に解雇されてなくても収入はゼロになってしまいます。

いま全米のサービス業に従事している労働者の多くは、まさしくそういう苦しい状況に置かれており、これが長く続けば家賃、住宅ローン、クレジットカードの支払いなどが出来なくなる恐れがあります。

■スモール・ビジネス、大企業も苦境に立たされている

苦しいのは労働者だけではありません。レストラン、小売店などは売上高が突然減ったので資金繰りに困っています。航空会社もカラッポの飛行機を飛ばしている状態であり、赤字が垂れ流しの状態になっています。

これらの商店の一部は「家賃を払わない」とショッピングモールのオーナーに通告しています。すると今度はそれらの不動産会社の経営がぐらぐらしはじめるわけです。

■放置すれば金融危機へ発展も

これらの個人や企業が借金を返せなくなると、彼らにお金を貸している銀行の貸付ポートフォリオで支払い遅延が増えることが予想されます。

このように最初は国民の健康問題だったのが、ぼやぼやしていると金融危機へと発展しかねない状況になっています。

■市場では解約に備えキャッシュへの換金が大急ぎで行われている

痛みは実業の世界だけでなく投資の世界でも感じられています。株式市場の急落で含み損を抱えた投資家が多いです。今後投資ファンドの破綻が起きる可能性もあります。投信、ヘッジファンドなどに解約が殺到するリスクもあります。

機関投資家は解約に備えてキャッシュポジションを高めています。そのためには下がっている銘柄だけでなく、今年パフォーマンスが良かった米国債、ゴールドなどの投資対象ですら売却の対象とされ始めています。

■ベアマーケット入り

株式市場は2月19日の高値から僅か22日でベアマーケット入りの定義である-20%を記録しました。これは過去最速です。

第二次大戦以降のベアマーケットでは平均して-32.2%下落しています。今回は3月24日までに高値から-27.9%の調整となっています。

■議会の景気刺激策が求められている

既に連邦準備制度理事会は2回の臨時利下げで政策金利を0~0.25%に引き下げたうえ、無制限の量的緩和政策を通じ米国債や住宅抵当証券を購入すると発表しています。

加えて商業不動産担保証券(CMBS)も量的緩和政策の購入対象証券に加えると発表しました。さらにプライマリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ(PMCCF)を通じ企業の新発社債を購入する、必要であればローンを提供すると発表しました。

そしてセカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(SMCCF)を通じて社債、ETFも市場から購入します。

さらにリーマンショックの時に設置されたターム・アセット・バックト・セキュリティーズ・ローン・ファシリティ(TALF)を復活させます。これは資産担保証券(ABS)を購入するプログラムです。そこでは自動車ローン、自動車リース、スチューデント・ローン、クレジットカード債権、機器ローン、保険プレミアム・ファイナンス・ローン、スモール・ビジネス・アソシエーションによって保証されている一部のスモール・ビジネス・ローンなどを購入します。

このような一連の措置は市場を安定させるには必要なのですが、いま切実に必要とされているのは冒頭で説明したような労働者やレストランなどスモール・ビジネスを直接救済することです。それは財政出動によってしか実現できません。

議会は2兆ドルに上る景気刺激策を審議中であり今週中にそれが成立することが期待されています。