追加の景気支援を必要とする米国経済

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■株式市場は半値戻し達成後気迷い商状

米国を代表する株価指数であるS&P500指数は2月19日の高値(3393.52)から3月23日の安値(2191.86)までの調整幅(1201.66)のちょうど半値戻しの水準(2792.69)辺りをウロウロしています。

既に半値戻しを達成したということはマーケットには未だ復元力が残っていることを意味し、今年の年末にかけての相場に期待できると考えることも出来るでしょう。

その反面、ここまでの戻りは連邦準備制度理事会(FRB)ならびに財政出動に大きく助けられた、極めて人工的な相場だと言う事も出来ます。

■なりふり構わぬ緩和・支援措置

パウエル議長は5月13日にピーターソン経済研究所でスピーチし「FRBは財務省証券、住宅抵当証券などを無制限の量的緩和政策を通じて買い取った。それに加えFRBのディスカウント・ウインドウを開け金融機関が直接FRBに駆け込むことが出来るようにし、諸外国中央銀行との間でスワップ・ラインを拡大した。マネー・マーケットが正常に作動するように財務省と連携し様々なファシリティを設けた。さらに家計、ビジネス、州ならびに地方政府に信用が上手く回るように措置を講じた。最後に銀行への規制を調整し家計やビジネスの顧客が銀行とビジネスする際、銀行が動きやすいように配慮した」とこれまでの措置を総括しました。

下は無制限の量的緩和政策でFRBの総資産が増えている様子を示したチャートです。

一方、議会もこれまでにGDPの実に14%に相当する2.9兆ドルの景気支援策を打ち出しました。

■新型コロナウイルスが雇用に与えたダメージは甚大

こうした素早い措置にも関わらず、年収4万ドル以下の低所得者層の実に40%が失業するという厳しい事態に陥っています。

この事態に鑑み、下院民主党は3兆ドルの追加景気支援策の策定に入っています。なし崩し的に政府からの支援が続くことで連邦政府の財政規律が無茶苦茶になってしまうのではないか? とこれを危惧する声が上院共和党員からは出ています。

したがってこの追加景気支援法案はひょっとするとすんなり成立しないリスクもあるのです。目先はこの法案が成立するかどうかが相場の流れを左右すると予想されます。

■米国債の人気は衰えていない

それに加えて米国で徴税を担当する内国歳入省(IRS)は今年の確定申告のタイミングを4月15日から7月15日に延期しました。その関係でいまアメリカ政府は歳入不足に陥っています。上に述べた景気支援策の予算の殆どは国債を発行することで賄われるわけです。

投資家の中には「連邦政府がどんどん国債を売り出すことでクラウディングアウト現象が起こり、他の借り手がおカネを借りにくくなるのではないか?」と指摘する人も居ます。

いまのところ米国の長期債の利回りは過去最低水準にあり、新発債の消化に苦しんでいるような気配はありません。

しかし今後は政府による借入がどんどん膨らむため、市場が消化不良を起こすかどうか注意して見守る必要があると思います。