追加景気刺激策の必要性と今後のマーケットの展開

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■追加景気刺激策が切望されている

米国は今年3月に2.2兆ドルの景気刺激策、いわゆるCARES Actを成立させました。そこでは通常の失業保険に加えて毎週600ドルの上乗せ見舞金が支払われることが規定されていました。

7月25日をもってこの措置が期間満了となり、終了しました。

現在、3,300万人のアメリカ人が失業手当を受け取っています。その人たちの手当てが1カ月当たり2400ドル少なくなると、日常のやりくりにかなり影響が出ます。

失業保険そのものは州によって額が違いますが全米平均では毎週387ドルになります。つまり上乗せ見舞金の方が失業保険そのものよりも大きかったのです。

この失業保険上乗せ金がGDPに与えた効果は+2.8%だと言われています。するとこれが無くなるとGDP成長率が鈍化するのです。

下院民主党は追加景気刺激策としてHEROS Actと呼ばれる法案を可決、それを上院に回したのですが上院の共和党からは「保護が手厚すぎて労働者の勤労意欲を殺ぐ」という意見が出て、いま対案が練られているところです。上院共和党は毎週600ドルではなく、100ドルという案を検討しています。

この他中小企業賃金保護プログラム(PPP)も8月8日に期限が切れてしまうので、これも延長する必要があります。

いずれにせよ追加景気刺激策の可決は「待った無し」であり、その大きさ如何によっては株式市場へも影響を与えると思います。

大方の市場参加者は「今回は前回より小さいプログラムにならざるを得ない」と諦めており、1.5兆ドル前後のパッケージを予想しています。これよりも小さければ市場は失望するでしょう。

もうひとつ重要な要因としていまアメリカの南部州を中心として新型コロナが猛威を振るっているのですが、それらの州が再びロックダウンを余儀なくされると地方財政は大きく悪化すると言われています。

すると地方政府は連邦政府に追加支援を仰ぐ必要が出ます。

いずれにせよマーケットにとっては議会の動きが今最も重要な相場の材料となっています。

 

■第2四半期決算発表シーズン

いま2020年第2四半期決算発表シーズンの真っ最中です。これまでにS&P500採用銘柄のうち約4分の1が決算発表を終えていますが、そのうち8割が一株当たり利益(EPS)で、7割が売上高でポジティブ・サプライズを出しています。これらは普段の決算発表シーズンよりやや良い結果です。

もうひとつ特筆すべき事として、これまでズルズルと下落の一途を辿っていた2020年通年のS&P500のコンセンサスEPSはどうやら底打ちした観があるということです。

4月に第1四半期決算が発表されたとき、新型コロナにまつわる不透明感のせいで多くの企業が今後のガイダンスを出すことを止めてしまいました。

このためウォール街のアナリスト達は思い切り控え目な予想数字を出さざるを得なかったのです。しかし実際にはそこまで足下の業績は酷くなかったことから、いまチラホラと上方修正も入りはじめています。ただ第2四半期決算の発表時も前回と同じく「ガイダンスは出しません!」という企業が相次いでいるため、アナリストの今後の予想数字に対する信頼性は低いですし新型コロナの進展如何によっては業績が再び下振れするリスクも残っています。

 

■まとめ

目先の相場の流れを決める重要な材料は「議会が一体どんな追加景気刺激策を出してくるか?」です。それが1.5兆ドル以上ならウォール街から好感されるでしょうし、それ以下なら落胆を誘うでしょう。

一方企業業績の下方修正には一応歯止めがかかった観があります。しかしこれとて今後の新型コロナの進展ひとつでどうにでも転がります。

これらのことに注意を払いながら相場に取り組んでゆきたいと思います。