9月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果について

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■連邦公開市場委員会

9月15・16日の両日に渡って開催されていた連邦公開市場委員会(FOMC)が閉幕し現行の金利政策の維持が発表されました。

今回のFOMCでは政策が変更されることは予想されていなかったので市場参加者の関心はもっぱら連邦準備制度理事会(FRB)が最近打ち出した、新しい金利政策決定のフレームワーク(枠組み)を、ジェローム・パウエル議長が市場にどう説明するか? に集まりました。

■新しいフレームワーク

まず新しいフレームワークですが、これまでのインフレ率が2%に着地できるよう、FRBは金利政策が効いてくるタイムラグを考慮しつつ早目に利上げする…というアプローチを止め、一定の期間の平均をとった時、インフレ率が大体2%に収まっていれば多少の上振れは仕方ないという考え方に変わりました。

同様に雇用に関しては、これまで「失業率で4%を目指す」という風に特定の失業率の数字を目安に物事を考えていたことを改め、労働市場の状況を総合的に判断するという考え方に変わりました。

この新しいフレームワークが市場参加者に受け入れられるためにはFRBはこの新しい行動規範に則り、きっちりとそれに従った意思決定プロセスを示してゆく必要があります。それは時間のかかるプロセスだと思います。

■政策金利

今回の声明文に添付された経済予想サマリー(SEP)によると少なくとも2023年末までは政策金利は動かされないことをFRBメンバーは予想しています。

■GDP予想

一方、今年のGDP予想はかなり上方修正されました。

谷の予想が浅くなった分だけ、来年のリバウンドの予想も低くなっています。

■失業率

失業率に関しては6月のFOMCの際の悲観的な予想が少し修正されました。

 

■PCEインフレ予想

PCE(=個人消費支出)インフレに関しては6月の予想が若干上方修正されました。

 

■まとめ

全体として今回の経済予想サマリーは新型コロナによる不況が当初の想定より酷くなかったことを印象付けました。これはもちろん歓迎すべきことです。

今後の展開として米国10年債利回りの動向に気をつける必要があると思います。なぜなら長期金利は経済が長期に渡って低迷するということを織り込んでいるので景況感に明るさが出てくると思わぬ金利上昇を招くリスクがあるからです。

長期金利の上昇は株式市場、とりわけハイテク株などの高いバリュエーションまで買い進まれているセクターを直撃します。