現在のイールドカーブから何が読み取れるか?

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■イールドカーブとは?

イールドカーブとは償還期限の近い短期債の利回りを出発点として順番に償還期限の遠い長期債の利回りまでずらりと並べ、それを線で結んだものを指します。

過去に遡り、イールドカーブの変遷をひとつのチャートにまとめると、下のような局面になります。

今日はこのイールドカーブから読み取れることについて解説します。

まず上のチャートの画面の手前側、すなわち3ヵ月物の金利は米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートの水準によってほぼ決まると言えます。現在、フェデラルファンズ・レートは0~0.25%となっています。つまり「実質ゼロ金利」ということです。

つぎに画面の奥の方を見ると20年債の金利が見えます。現在は1.21%です。これはまだまだとても低い水準だと言えます。

それと言うのも前回大きな景気後退があったのは2008年のリーマンショックの時であり、その時も今と同じように連邦準備制度理事会(FRB)は「実質ゼロ金利」体制を敷きましたが、画面の奥の方を見れば山のカタチは今よりもずっと険しいことが読み取れます。

これは何を意味するのでしょうか?

画面の奥、すなわち長期金利は債券投資家が「中・長期でインフレ率はどうなる?」と考えているか……その期待値を反映しやすいです。

するとリーマンショックで長期金利が急低下した後、わりあい直ぐに長期金利は再び切り返し、上昇に転じたということがわかるのです。これはその当時、投資家が「中・長期でのインフレは高くなる」と考えていたことを示唆しています。

普通、インフレは好景気のときに酷くなります。すると今回はリーマンショック当時よりも景気の反発は弱々しいと投資家は考えているのです。

■株式市場の参加者は早期での新型コロナの終息を織り込んでいるが……

3月以降の株高からも分かるとおり、こと株式市場の参加者に限って言えば、もうあたかもワクチンが完成し、来年にでも新型コロナ禍が終息するような気持ちになっている人が多いです。

たしかにその可能性はあると思います。

しかしイールドカーブの状況を見る限り、債券市場の参加者は、そういう風には考えていません。

もし新型コロナが早期で終息するのであればイールドカーブのカタチはリーマンショックの後の時のように険しい山になってないとおかしいのです。

つまり今私が指摘しているのは債券市場と株式市場のチグハグということです。

普通、こと景気に関する限り、債券市場の参加者の方が株式市場の参加者よりソフィスティケートされており、正しいことが多いです。

そうなのであれば、株式市場の参加者の楽観的な希望が打ち砕かれるリスクもあるのではないか? と思います。

そのへんの事に注意を払いながら、10月は慎重に相場を張ってゆきたいと思います。