
■2021年はバリュー投資の年になる
バリュー投資がグロース投資にパフォーマンスで劣後して久しいです。下のチャートは「ウィルシャー米国大型グロース株指数」を「ウィルシャー米国大型バリュー株指数」で割算した結果を示したものです。
(出典:セントルイスFRB)
このチャートが上昇しているときはグロース株がバリュー株よりアウトパフォームしていることを意味します。逆にこのチャートが下がっている時はバリュー株のほうが良いことを示します。
ドットコム・バブルが弾けた2000年の秋以降、チャートが急激に下がっているのはバリュー投資が勝っていることを表しています。
下は2020年以降の部分を拡大したチャートです
(出典:セントルイスFRB)
これを見れば9月以降、グロースがバリューに勝てなくなってきていることがわかります。
2021年はバリュー投資がグロース投資をパフォーマンスで軽々上回る年になると思います。
■グロース投資とは?
グロース投資とはその企業が市場平均に比べてより高い収益成長を見込める場合、株価収益率、つまりPERや株価純資産倍率、つまりPBRなどの水準を気にせずに投資する手法を指します。
グロース投資の投資家は株価の勢い(モメンタム)や業績の成長率にとりわけ注意を払います。
グロース投資で重要なことは、買った先からすぐに利が乗りはじめることです。もしあなたが株を買った直後からすぐに利食いにならないのなら、入るタイミングを間違えたことになります。
グロース投資では上に述べたようにバリュエーションが高くてもそれを気にせずに買うわけですからバブルの天井を掴むリスクがあります。泡沫的企業や短命な商品、浮ついたアイデアに依存しなければいけない危険な会社を買ってしまうリスクがあります。
早目の損切りが出来ない人はグロース株投資をやるべきではありません。
■バリュー投資
バリュー投資とは、株価がその企業の内在価値に比べて割安に取引されているときを見計らって投資するスタイルを指します。内在価値は「イントリンシック・バリュー」と呼ばれます。これはその企業を買収したあとそれをバラバラにして売り払ったときの解散価値を指す場合もありますが、普通はその企業が継続して営業する際に生み出す営業キャッシュフローの潤沢さを問題にすることの方が多いです。
■時代はバリュー投資へ
今年は新型コロナが発生した関係で人々が外出しにくくなり、リモートワークに関連する需要が爆発しました。それはネット通販やビデオ通話を提供している企業にフォローの風が吹いたことを意味します。本来向こう数年かけて浸透してゆくべき新しいトレンドへの移行が、一瞬にして起きてしまったのです。
それは「需要の先食い」を意味し、来年以降の前年比較が苦しくなることを意味します。グロース投資では業績の変化率が鈍化することは鬼門です。その意味では2021年のグロース株は苦戦を強いられるでしょう。
さらにグロース投資家は株価のモメンタムをたいへん気にします。すでに米国の大型ハイテク株はチャート的にいわゆる「ロウアー・ハイ(Lower highs)」と呼ばれる、高値がだんだん切り下がる、右肩下がりのチャート・パターンに陥ってしまっています。モメンタム投資の大原則から言えば、処分しなければいけないチャートになっているということです。
バリュー投資は、たまたま何かの理由で企業がその実力を発揮できてない局面を捉え、それが「一過性の問題か?」をじっくり検討し、回復可能なのであれば投資する手法です。新型コロナ禍はワクチンさえ完成すれば「一過性の事件」になるわけで、これほどわかりやすいチャンスはありません。