
■非農業部門雇用者数
12月4日(金)に発表された11月の非農業部門雇用者数は予想46.9万人を大幅に下回る24.5万人でした。
(出典:労働統計局)
上のチャートを見ると7月以降新しい雇用の創造のペースはだんだん衰えてきています。このような遅々としたペースでは新型コロナ以前の水準に雇用が戻るには2024年までかかってしまいます。
新型コロナ以降、2200万人の雇用が失われました。これまでに1200万人の雇用は取り戻したけれど、未だ差し引き1000万人が失業したままだということです。
金曜日にこの数字が発表された後、債券が売られ、長期債利回りが上昇した理由は、投資家が(これで追加景気刺激策の可決は待った無しになったぞ)と感じたからです。
■失業率
次に11月の失業率ですが、予想6.8%に対して6.7%という結果でした。
(出典:労働統計局)
なお失業率の改善は求職を諦めてしまった失業者が増えたからです。従ってこれは「良い失業率の減り方」ではなく「悪い失業率の減り方」だと言えます。
■平均時給
次に11月の平均時給ですが+9¢でした。
(出典:労働統計局)
4月に平均時給が急騰した理由はレストランなどでとりわけ賃金の安い労働者から順番に解雇された関係で平均値が跳ね上がってしまったことが関係しています。その後、それらの労働者のうち一部を雇い直した関係で5・6月の平均時給は逆に急落しました。
■労働力率
11月の労働力率は61.5%と10月に比べて下がりました。
(出典:労働統計局)
労働力率の低下は国民が労働市場にとどまる意欲の減退を示唆しています。不景気が長引くとこの数字が低い位置にとどまる傾向があります。
■まとめ
先週発表された11月の雇用統計は(政府がこのまま手をこまねいていてはダメだ)ということを強く感じさせるものでした。いま新型コロナは再び猛威を振るっており、国民が生活防衛のために蓄えた貯蓄は底をつきはじめています。このまま議会が追加景気刺激策を可決できないなら、米国経済は再び暗転のリスクがあります。12月半ばには新型コロナワクチンが承認されるのでは? という期待がありますが、仮にそれが承認された場合でも広く一般国民にワクチンが回ってくるのは2021年の半ばになると思われるので、その間のつなぎとして政府からの財政支援が望まれるところです。