
■連邦公開市場委員会
12月16日(水)に終了した今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果、米国の政策金利であるフェデラルファンズレートは現行の0~0.25%に据え置かれました。
債券買い入れプログラムに関しては「政策金利だけではなく債券買い入れプログラムも9月に発表した新しい金融政策フレームワークに緊密に連動するカタチで運営する」ということが説明されました。
これは、もっとカンタンな表現をすれば、少々インフレ率が上昇しても政策金利を慌てて引き上げないという新しい基本方針は今毎月1400億ドルのペースで行われている債券買い入れプログラムにも同じ態度があてはめられるという意味です。
記者会見中、ジェローム・パウエルFRB議長は「債券買い入れプログラムの規模を縮小(=テーパー)するときは、実際にその決断をするよりずっと早くからその意向をシグナルする。いまテーパーは全然考えてない」とコメントしました。
債券買い入れプログラムになんらかの変更を加える前にまず経済が今よりずっと良くなることが大前提だという考えを今回新しく打ち出しました。
新型コロナ第三波は、FRBが予想していたより大きなものになりつつあり、すでにデータにその悪影響が出始めています。第1四半期はこの影響でかなり経済が減速するとFRBでは見ています。
しかし新型コロナワクチンが承認されたのでトンネルの向こうには光が見えています。いまこそFRBは現行の支援を維持し、集団免疫が達成できると思われる2021年後半まで景気の支援の手を抜かない決意です。
■経済予想サマリー
FOMC声明文に添付された経済予想サマリーではまずフェデラルファンズレートの予想には変更はありませんでした。
(出典:FRB)
次にGDPの予想は2020年、2021年、2022年が上方修正されました。
(出典:FRB)
失業率の予想は2020年、2021年、2022年、2023年の数字がそれぞれ引き下げられました。
(出典:FRB)
PCEインフレ率の予想は2021年、2022年が上方修正されました。
(出典:FRB)
■まとめ
今回のFOMCでは一段とハト派的なメッセージが明快に打ち出されたと思います。FOMCの翌日、長期金利が低下しドルが102円台にドル安となったのもそれを反映していると思います。
一部の投資家は(ワクチンの承認は引締めのキッカケを提供するのでは?)と予想していましたが、FRBは新型コロナ第三波で足下の景気がつんのめりかけていることの方をむしろ重視しているというメッセージが明快になりました。