米国の景気拡大はピークを迎えつつある

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■好調な米国経済

米国経済は絶好調です。4月2日(金)に発表された非農業部門雇用者数は予想64.7万人のところ91.6万人を記録しました。

(出典:労働省)

1月、2月の数字も上方修正されたので、それらを合せると100万人近い雇用が創出されたことになります。

失業率は予想に一致する6.0%でした。

(出典:労働省)

 

新型コロナワクチンの接種が進み、経済再開への期待が高まるとともにレストランなどのサービス業が雇用を増やしているのが上振れの原因です。ウエイトレスなどの職業は賃金が低い関係で平均時給の数字は悪化しています。

(出典:労働省)

 

■製造業景況指数

一方、米国ISM製造業景況指数を見ると3月は予想61.3に対し結果64.7と好調でした。

(出典:ISM)

 

つまりサービス業だけでなく製造業の景気も良いのです。

しかし世界を見回すとワクチンの接種は米国ほど捗っておらず、早期の景気回復の可能性は段々遠のいています。

世界の景気がダメなとき、米国だけが絶好調を続けると言うのはムリのあるシナリオです。今のペースで行くと米国では7月末までに国民の75%へのワクチン接種が終わる見通しなのですが、その頃には「好材料の出尽くし」となる可能性もあります。

言い換えれば、我々はそろそろ景気拡大を期待することから次なる景気の鈍化へとマインドをシフトして行かないといけない時期にさしかかっているのです。

事実、一足先に景気回復を実現した中国の製造業購買担当者指数は景気拡大のペースが鈍化しつつあることを示唆しています。

(出典:財新マークイット)

 

■投資戦略

景気拡大の後半局面では次第にシクリカル株が市場平均をアンダー・パフォームし始め、グロース株はディフェンシブ株へと物色の矛先が移ってゆくことが知られています。このため投資のフォーカスをだんだんそちらへとシフトする必要があると思います。