
■消費者物価指数
7月13日に発表された6月の消費者物価指数は+0.9%と強い数字でした。

■小売売上高
7月16日に発表された小売売上高も5507.8億ドルと強い数字でした。

■経済再開は順調
これらの経済統計が示唆していることは新型コロナワクチンの接種の進捗とともに経済再開に弾みがついているということです。
ただし足下の極めて強い数字は去年外出したくても出来なかった事への反動という側面があるため今後は鈍化が予想されます。
一例としてウォールストリートジャーナルが米国のエコノミストたちに対して行った聞き取り調査の結果、米国のGDPは下のようなペースで成長するというコンセンサスが形成されています。

つまりGDPの成長は第2四半期がピークであり、それ以降、だんだん鈍化すると予想されているのです。その場合でも過去の成長率と比べるとかなり高い水準が維持されると見られています。
■住宅市場は過熱感がやや冷えた
米国の住宅市場は郊外の一戸建てを求める需要が新型コロナで爆発したことに加えてリーマンショック以降新築住宅の供給が細っていた事と相まって品薄感が強く、それが過熱へとつながりました。これに伴い材木価格なども高騰しました。
しかしあまりに急に住宅価格が上昇したことで消費者が警戒し、今は少し様子を見ようというバイヤーが増えています。その関係で住宅市場は少し鎮静化しています。材木価格も急落し、結局、年初の水準とほぼ同じところまで下がりました。
■中古車市場の過熱
一方、経済再開で突然半導体の需要が増えたことで車載半導体が払底した件に関しては、それが原因で新車の生産が遅延、結果として中古車市場が時ならぬブームとなりました。いまアメリカで新車を買おうと思えば平均して440万円、中古車を買おうと思えば平均して220万円払わないといけません。この自動車価格の高騰にショックを受けた消費者も多く、買い控えの行動が出始めています。
■まとめ
足下の米国の景気は消費者物価指数や小売売上高からもたいへん強いことがうかがわれます。しかしこれは去年外出禁止令で消費したくても出来なかったことへの反動という側面があり、今後成長は鈍化すると考えるのが自然です。実際、住宅価格や自動車価格の高騰は消費者の買い控え行動を誘発しています。
連邦準備制度理事会(FRB)はこのような状況を注意深くモニターしているはずです。パウエル議長は議会証言でじっくり様子を見極めた上でたっぷり時間をかけて動き出すことを約束しました。経済が自律的にスピード調整することに期待しているという風にも取れると思います。