連邦公開市場委員会では現行の政策金利が維持された テーパーに関しても未だ討議中

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■連邦公開市場委員会

7月27・28日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)が閉会し声明文が発表されました。そこでは現行の政策金利0~0.25%が維持されたほか債券買い入れプログラムも今まで通り継続されることが発表されました。

■経済は進捗が見られた

声明文では経済は連邦準備制度理事会(FRB)の目標である雇用の最大化と物価の安定に関し一定の進捗が見られたとしています。しかし雇用は未だ最大化には到達していないので、いまは継続して雇用データを見守ることにしました。

■インフレがターゲットをオーバーシュートしていることについて

一方、インフレはFRBのターゲットである2%を大幅に超え、5%台に入っています。これに関してFRBメンバーは一時的な現象だと捉えています。なぜなら幅広い項目でインフレが見られるのではなく、新車、中古車、レンタカー、ホテル、航空券などごく一部のセクターだけで著しい値上げが見られているからです。

これらのセクターは半導体の不足や外出禁止令で大打撃を受けたセクターであり、いま突然経済が再開したので供給力が直ぐに戻ってこないことが値上がりの主因となっています。つまりサプライ・サイドの問題だということです。

材木価格が急騰した後「行って来い」になり、年初の水準まで下がったように、半導体の不足も一過性の現象である可能性が強いです。

■インフレ期待には変化なし

その一方で市場参加者の長期でのインフレ期待の指標である10年債利回りは前回のFOMC以来低下気味です。これは市場参加者が足下の消費者物価指数の高騰は特殊要因がもたらした一過性のものであると考えていることを示唆しています。

長期でのインフレ期待がスルスル上昇しはじめるとFRBは居心地の悪い立場に置かれるわけですが、それが現在のようにしっかりと低い位置でアンカーされている限り、FRBは現在の緩和的な金利政策を維持、少しでも雇用拡大を稼ぐ方が良いと考えていると思います。

■デルタ種

いま米国の一部の地域では新型コロナ・デルタ種が猛威をふるっています。それに関するパウエル議長の考えは新型コロナ第一波より第二波のほうが経済に対するインパクトは小さく、第三波はさらに経済へのインパクトは小さくなると考えています。その理由は国民が新型コロナとともに暮らしてゆく知恵がだんだんついてきたことによると思われます。

雇用市場が改善するには学校再開が鍵を握っているとパウエル議長はコメントしました。なぜなら学校が閉鎖されると家に居る子供の面倒を見る人が居なくなるからです。8月中旬から一部の学校が秋学期に入るため、デルタ種が学校の再開に悪影響を与えないかどうかここしばらく注視する必要があります。

■テーパーについて

現在進行している債券買い入れプログラムの縮小(=いわゆるテーパー)に関してはそのタイミングならびにテーパーの規模、そしてテーパーの内訳のそれぞれに関しFOMCで討議しました。まだ最終的な合意には到達しておらず経済データを睨みながら引き続き議論してゆく考えです。

一部の市場参加者は財務省証券より先に住宅抵当証券の買い入れを縮小した方が良いと指摘していますがパウエル議長は金融コンディションに与える影響という見地からは財務省証券も住宅抵当証券も大きな差異は無いと考えているそうです。だからまず住宅抵当証券だけをテーパーするということに対するFOMCメンバーの支持はあまりありません。ただごく一部のメンバーは住宅抵当証券をよりアグレッシブにテーパーすべきだと主張していることは事実です。

■まとめ

今回のFOMCでは現行の政策金利ならびに債券買い入れプログラムは変更されませんでした。声明文では経済がFRBの目標に向かって少し進捗した事実を認めました。インフレに関してはごく限定的なセクターで一時的なインフレが起きているけれど、それが国民の全体的なインフレ期待に悪影響を与えておらず、一過性のものとなる公算が大きいと思います。デルタ種が経済成長に与える影響は限定的だとFRBは考えていますが新学期からの学校再開が水に流れる場合は雇用市場の回復に悪影響があると予想されます。