雇用統計は今回も良かった 次回FOMCでテーパー発表が濃厚に

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■非農業部門雇用者数

8月6日に発表された7月の非農業部門雇用者数は事前予想の87万人を上回る94.3万人でした。

(出典:労働統計局)

これで6月に続き7月も強い数字が出たことになります。

■失業率

7月の失業率は予想5.7%に対し5.4%と、こちらもポジティブ・サプライズでした。

(出典:労働統計局)

 

■労働力率

しかもこの低い失業率は労働市場への参加者が増えたにもかかわらず実現しています。7月の労働力率は61.7%でした。

(出典:労働統計局)

 

■人種別失業率

今回の統計で特に目立ったのは黒人などマイノリティーの雇用が改善していた点です。

(出典:労働統計局)

普段、連邦準備制度理事会(FRB)のメンバーが「景気回復の後半になればなるほど取り残された経済的弱者の雇用改善が顕著になる」と主張していることがまさしく今、我々の目の前で起こっているわけです。

FRBは「インクルーシブな雇用の成長を見届けるまでは引締めをしない」と普段からシグナルしています。インクルーシブとは「仲間外れにしない」という意味で、黒人やヒスパニックなどのマイノリティーも含めて、社会全体の雇用の改善ということをFRBは重視しているのです。その意味では今回のデータはその願いが叶いつつあることを証明するものでした。

■学歴別失業率

同じことは学歴別失業率にも言えます。低学歴の人は最初に職を失い、再就職もいちばん最後になるということが言われていますが、いまようやくここにも改善の兆しが見え始めたというわけです。

(出典:労働統計局)

 

■平均時給

ここまで述べてきたことは全て歓迎すべきことです。しかし今回の雇用統計で懸念点があるとすればそれは賃金の動向です。7月の平均時給は11¢の上昇でした。

(出典:労働統計局)

今年の数字はこのチャートでは黄色で表示されていますが、このところコンスタントに賃金の上昇が過去3年より高くなっていることがわかります。

労働者にとって賃金の上昇はもちろん歓迎すべきことです。しかしそれは同時に国民の心にインフレ期待を植え付ける要因ともなります。賃金がスルスル上昇しはじめるとFRBは急にそわそわし始めます。言い換えれば引締めが近いというわけです。

これはどうしてか? と言えば賃金インフレは「しつこい」と考えられておりそれを放置するとあとでインフレを抑え込むのに苦労するからです。

■テーパーについて

このことからFRBは次の9月22日の連邦公開市場委員会(FOMC)でいよいよテーパーに関して言及すると考えられます。かねてからFRBは「テーパーするときは十分に時間的余裕を持って、実際の縮小開始よりずっと先にそれを発表する」と言ってきました。その関係で債券買い入れプログラムの縮小着手自体は9月22日ではなくもう少し先になると思います。今回出されるのは「予告」です。

縮小開始のタイミング、毎月の縮小金額、いつまでテーパーを続けるのか?……そういったカギを握る情報に関して、次のFOMCで手掛かりが示される公算が高いというわけです。

■投資戦略

テーパーがいずれ発表されることは市場参加者なら誰でも知っていることです。その意味では(これは織り込み済みでは?)と思いたくなるのが人情です。しかし過去の引締めの例を振り返ってみると、十分予期された引締めでも、実際の発表の前後ではマーケットはギクシャクするのが常です。その意味において9月のマーケットはボラティリティー(=相場のブレ)が高くなると覚悟すべきでしょう。