ジャクソンホール経済政策シンポジウムで何が出る?

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■ジャクソンホール

カンザスシティ連銀は毎年8月末にワイオミング州ジャクソンホールで経済政策に関するシンポジウムを開催しています。今年は8月27日(金)です。なお新型コロナの関係で今年のミーティングはバーチャルで行われます。カンファレンスのプログラムは8月26日夜8時にカンザスシティ連銀のウェブサイトに掲載される予定です。

招待される参加者の決定方法ですが、まずその年のディスカッションのテーマを決め、その研究領域に詳しい登壇者を招致するという方法を採っています。例年、総参加者数は120名前後です。カンザスシティ連銀は参加者に会費を請求します。

■歴史

カンザスシティ連銀は1978年から農業経済に関するシンポジウムを開始しました。当初、シンポジウムはコロラド州ベイルで開催されていました。

しかしポール・ボルカー議長が大の釣りマニアだと聞いたカンザスシティ連銀のロジャー・ガフェイ総裁が1982年に川釣りの名所であるワイオミング州ジャクソンホールにシンポジウム会場を移すことで議長に来てもらうことに成功、それ以来、ジャクソンホール・シンポジウムという名前になったのです。

1982年のそのシンポジウムでは「1980年代の金利政策上の争点」というタイトルで活発な討議が行われました。

1985年のシンポジウムでは「米ドルを巡る最近の情勢、今後の見通しと政策の選択肢」というテーマで話し合いが持たれました。

■市場参加者にとっての重要性

このようなシンポジウムを重ねてゆく過程で、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、何か大きな政策転換をする場合、まず小手調べにジャクソンホール・シンポジウムで新しい考え方を示し、反応を見るということを始めました。

例えば2007年のテーマは「住宅、住宅ファイナンスと金利政策」というテーマが設定されていました。これは地味な会合になるという大方の予想に反し、シンポジウムの直前に住宅市場の環境が急変し、波乱のミーティングになったのです。

■グローバルなインパクト

なおジャクソンホール・シンポジウムは米国の連銀関係者だけでなく、世界の40か国を超える中央銀行、学者、メディアなども参加する国際的なイベントに発展しています。

■今年のみどころ

さて今年のみどころですが、ズバリFRBがこれまでの緩和的な手綱さばきから引締め的な手綱さばきへといよいよ転換するのか? ということがみどころになると思います。

上に書いたようにFRBはジャクソンホール・シンポジウムを小手調べの機会として利用することが多いのでまったくちょうど良いタイミングでの開催となります。

しかし前回の連邦公開市場委員会(FOMC)で記者団からの質問に答えたパウエル議長は「ジャクソンホールでのスピーチは考え中だが中身は未定だ」と言葉を濁しました。

いま米国の雇用はスルスルと伸びており、とりわけ経済的弱者、すなわちマイノリティー(黒人、ヒスパニックなど)や低学歴のひとたちの雇用がようやく良い感じで戻りはじめています。その意味ではFRBとしてはなるべく手の内を明かすことを先送りし、いまのうちにひとおもいに失業率を押し下げてしまいたいと感じて居るはずです。

そのことを考えると今回、ジャクソンホールでは何も出ない可能性も残っています。9月3日の雇用統計発表の後で何らかのシグナルがFRBから出るというシナリオも考えておく必要があるでしょう。