連邦公開市場委員会では大方の予想通りテーパー開始が宣言された ハチャメチャ感は醸し出されていない

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■連邦公開市場委員会

11月3日(水)、2日間に渡って開催されていた米国の政策金利を決定する会合である連邦公開市場委員会(FOMC)が閉幕し、大方の予想通り11月から債券買入れプログラムを縮小することが宣言されました。

それによると新規の債券の購入額は下の表のように順次減額されてゆきます。

 

米国財務省証券

住宅抵当証券

2021年10月(テーパー前)

800億ドル

400億ドル

2021年11

700億ドル

350億ドル

2021年12

600億ドル

300億ドル

2022年1

500億ドル

250億ドル

2022年2

400億ドル

200億ドル

2022年3

300億ドル

150億ドル

2022年4

200億ドル

100億ドル

2022年5

100億ドル

50億ドル

2022年6月(完了)

0億ドル

0億ドル

 

もし米国経済に大きな異変が出た場合はこの表に示されたシナリオは変更される可能性があります。

しかしそうでない場合は予定通り来年の6月にはテーパーは完了するというわけです。

なお債券の購入額の減額は前回、すなわち2013年のテーパーのときよりも急激です。この点に関して記者団との質疑応答で質問が出ました。

パウエル議長の説明は「今回は前回よりも景気が強く中央銀行の継続サポートはあまり必要ではないから」というものでした。

■雇用とインフレの関係

これに絡めて、いま過去30年で最も急激に賃金が上昇し始めている事に関しパウエル議長は「基本的にそれは歓迎すべきことだ」とした上で「生産性の向上が無いままに、賃金だけがしつこく上昇しすぎると、それはインフレ・スパイラルの原因となってしまう」と指摘しました。

なお賃金の上昇の中身をみると、新規採用された人の賃金が著しく上昇しています。

それと同時にいまは「より高いお給料を獲得したい!」という理由で空前の転職ブームが起きています。これは悪い雇用市場の姿ではなく、本来あるべき姿だと言えるでしょう。

つまり経済が変貌を遂げ、新しいタイプの仕事が切実に良い労働力を求めており、その結果お給料を弾んでいるわけで、そういう「良い仕事」ほど賃金の伸びが著しいです。

そうなのであれば全体として平均賃金が上昇しているから「これは危険! もう引き締めるべき!」という風に短絡的に決め付けるべきでは無く、「良い賃金上昇」の行方をしばらく見極めるべきだというわけです。

■利上げは区別して考えるべき

2022年6月にテーパーが完了しても、それはその後直ちに米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートが引き上げられ始めることを意味しません。テーパーと利上げは切り離して考えるべきです。

そして利上げに踏み切るためにはテーパーの決断に至った時より更に高いハードルをクリアすることが要求されます。

■結局FRBの采配はそれほどハチャメチャにはなってない

フェデラルファンズ・レートの先物取引では先週まで「2022年内に3回の利上げが起こる」というアグレッシブなシナリオが織り込まれていたのですが、今日のFOMCの結果を受けてそのような極論は後退し、1~2回程度という線が浮上しています。

それは全体として「ちょうどいい湯加減」の景気となる可能性が高まったことを示唆しており株式市場にとってはプラスです。