年内7回、合計1.75%の利上げで来年春までに政策金利を2.5%までもってゆくシナリオが浮上

■FEDウォッチャーの観測記事

1月23日(日)、ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオスが今後の政策金利の軌跡に関する重要な観測記事を出しました。これまでにニックが書いたことは、ことごとく当ってきたので、今回の記事も注目する必要があります。

まず記事中、過熱気味の雇用ならびに景気のペースをすこし落とすために必要なフェデラルファンズ・レート(=米国の政策金利)は2.5%だとした上で、なるべく早くそこへ到達するために、連邦公開市場委員会(FOMC)があるごとに毎回コンスタントに利上げしてゆく必要性に言及しています。

■記事のシナリオを今年のスケジュールに当てはめると…

今年のFOMCのスケジュールは次のようになっています。

1月25・26日
3月15・16日
5月3・4日
6月14・15日
7月26・27日
9月20・21日
11月1・2日
12月13・14日

そして利上げ開始は3月のFOMCからだと考えられています。すると年内に7回、毎回0.25%刻みで利上げしたとして通算1.75%の利上げが行われることになります。

■市場参加者はシナリオ修正を強いられる

現在フェデラルファンズの先物が織り込んでいる年内の利上げ回数は5回、合計1.25%です。

すると先週までに市場が織り込んできたシナリオより、あと0.5%ペースが加速するという計算になります。

■今週のFOMCはどうなる?

今週は25・26日にFOMCが開催されるわけですが、それに先立ちFRBが市場参加者の反応を伺うため今回WSJの記事で観測気球を上げたという風に言えるでしょう。

もし月曜、火曜にマーケットが荒れるようなら、FRBはこのシナリオを引込めるでしょうし、市場が持ちこたえるようなら26日の記者会見でこのガイダンスを明快に打ち出すはずです。

■変わり果てた政策金利のシナリオ

去年の9月くらいまでは「2022年中は利上げは無いだろう」というのが市場参加者のコンセンサスでした。それが僅か4ヶ月で「2022年中の利上げ回数は7回」というシナリオまで激変してきたわけです。

私は1988年にアメリカに来て、それ以来、ずっとFRBの動向を観察してきたわけですが、いまほど慌てふためいたFRBは見たことがありません。

市場参加者は中央銀行が取り乱したオーラを出すことを何よりも嫌がります。今週を無事乗り切ることが出来るか、とても重要な場面にさしかかっています。