
イタリアの国民投票
12月4日にイタリアで憲法改正をめぐる国民投票があります。
この国民投票は、機能不全に陥っているイタリア議会が、将来、サクサク法案を可決しやすくなるように、上院の権限を縮小することを提案するものです。「YES」が勝てば議会の機動力が増し、「NO」が勝てば現状維持になります。
下馬評では「NO」が勝つと言われており、その場合、マッテオ・レンツィ首相は辞任するかも知れません。
市場参加者は「NO」に賭けている
すでにマーケットは「NO」を織り込んでいるので、Brexitやトランプ勝利の時とは市場参加者のスタンスは違います。別の言い方をすれば、「NO」が勝っても、サプライズでは無いということです。
仮に「NO」の結果を受け、レンツィ首相が辞任し、総選挙になった場合でも、国民や投資家はイタリア政治の麻痺状態には馴れっこになっていますから、リスクオフにはならないでしょう。
むしろ「YES」となるシナリオは織り込まれていないので、その場合、ユーロが急反発するかも知れません。
もし「YES」なら、テーパーリングの議論が出る
Brexitや米国大統領選挙の陰に隠れて、久しく欧州経済は忘れられた存在になっていました。しかしこの間、欧州経済は、かなり改善しています。
下はユーロ圏の失業率です。
ユーロ圏製造業購買担当者指数も力強いです。
ユーロ圏消費者物価指数もデフレを脱しています。
つまり今回の国民投票で「YES」が勝った場合、欧州中央銀行(ECB)はテーパーリング(債券買入れプログラムの縮小)を考え始める必要が出ます。