
非OPEC産油国も減産へ
先週末ウイーンで非OPEC(石油輸出国機構)各国の会合があり、11月30日に発表されたOPECの減産に協調するかたちで、非OPEC産油国も減産することが決まりました。
整理すると:
OPEC減産=120万バレル/日
非OPEC減産=56万バレル/日
つまり合計176万バレル/日の減産ということになります。これは当初OPECが望んでいた減産目標134~148万バレルを大幅に超える減産幅になります。
今回の非OPECの減産のうち、30万バレルはロシアによる減産です。
15年ぶりの快挙
非OPEC産油国が協調減産するのは実に15年ぶりのことです。
サウジアラビアの新しいエネルギー産業鉱物資源相、カーリッド A. アルファレ氏が強力なリーダーシップを発揮し、産油国をひとつにまとめている様子が伝わってきます。
サウジアラビアは2017年か2018年にサウジアラムコを新規株式公開(IPO)したい考えです。するとこの巨大なIPOの前に原油価格がじり高するような環境を整え、株式の売出しを円滑にする必要があるわけです。
15年前に協調減産が発表されたときは、原油価格が30ドル割れの水準からリーマンショック直前の140ドルまでラリーしました。
今回はシェールと世界的低成長という問題がある
勿論、前回と今回では環境が異なります。
まずシェールオイルという新しい供給が出現しています。加えてリーマンショック後、世界経済は「ニュー・ノーマル」と言われる慢性的低成長に直面しています。
だから昔のように原油価格が100ドルを超えるような状況というのは期待できないでしょう。
それを断った上で、現在の供給過剰は今回の176万バレルの減産でスッキリ解消されることになると思います。だから原油価格が60ドルを超えるというシナリオは十分に考えらます。
実際の減産が開始されるのは来年早々からです。過去の経験では、減産がはじまった後で、じわじわと原油価格が上昇しました。
これは原油のみならず石油関連株にとり、歓迎すべきニュースです。