2017年の欧州のイベント・カレンダー

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2017年欧州株式市場に期待できる理由

私は2017年の欧州株式市場に強気です。

 その第一の理由はユーロ安です。

ユーロ/ドル(セントルイスFRB)

ユーロ安はドイツをはじめとするユーロ圏の輸出企業の業績を後押しする効果があります。
これは円安になれば日経平均が上昇するのと同じ理屈です。

欧州の製造業購買担当者指数も改善基調にあります。

ユーロ圏製造業購買担当者指数(マークイット)

しかし欧州大陸の株式市場は出遅れています。

 その理由は、2017年は政治カレンダーがびっしり詰まっており、投資家が(欧州はイベント・リスクが高い)と考えているからだと思います。

 そこで今日は2017年の欧州の政治カレンダーとそのリスクについて書きます。

 

オランダ

オランダでは315日にオランダ第二院選挙があります。第二院というのは下院に相当します。

 第二院は立法、内閣の監視などを主な仕事とし、第一院に優越しています。

 定数は150ですが、主な政党は下の表(抜粋)のようになっています。

政党

議席数

特徴

自由民主国民党(VVD)

40議席。

穏健、保守。マルク・ルッテ党首(元首相)

労働党(PvdA)

35議席

 

社会党(SP)

15議席

 

キリスト教民主同盟(CDA)

13議席

中道。宗教色は薄れている。

自由党(PVV)

12議席

EU

民主66党(D66)

12議席

中道左派

見ての通り、どの政党も過半数とは程遠く、連立政権を形成する必要があります。

 最もEU反対を鮮明に打ち出しているのは自由党です。しかし自由党の支持率は10%を切っているので、大きな番狂わせのリスクは低いと思います。

 

フランス

フランスでは423日に大統領選挙があります。こちらは比較的サプライズ・リスクが高いと思います。

 この第一回目の投票で過半数を獲得する候補者が出たら、それで大統領が決まります。

 そうでない場合は57日に決選投票が行われます。現在の予想では、決選投票まで持ち込まれると予想する市場関係者が多いです。

 一番有力視されているのはフランス共和党のフランソワ・フィヨン氏です。フランス共和党とは聞き慣れない政党名かも知れませんが、2015年に改称されたばかりの政党です。旧名は国民運動連合(UMP)という名前でした。

 フランス共和党は中道右派で、米国の下院に相当する国民議会での議席数の34%を占めています。また上院に相当する元老院での議席数は41%を占めています。

 フィヨン氏はサルコジ政権で首相を務めた経歴を持ち、候補者としての資格は十分だと思います。ただ公約をみると「小さな政府」、「減税」、「労働市場の改革」など、どちらかといえば社会主義色が濃いフランスにおいては、ちょっと国民から共感を得にくい公約が多い気がします。

 

一方、これに対抗するのは極右政党、国民戦線(FN)を率いるマリーヌ・ル・ペンです。

 彼女は「自分が当選したら、フランスのEU残留を巡る国民投票を実施する」と公約しています。このため彼女が勝てばフランスのみならず、欧州大陸の株式市場は大幅安するリスクがあります。

 現在の各候補の勢いから考えて、第1ラウンドで大統領が決まる可能性は低いです。

 フランスの有権者は、第1ラウンドでは、いわゆる「プロテスト・ボート」、つまり現政権への批判票を投ずる傾向がありますので、マリーヌ・ル・ペン氏が予想外の善戦をするリスクがあるのです。

 しかし過去の経験則では決選投票になると、フランスの有権者は急に保守的になることが知られています。したがって決戦投票では保守系の票が全てフィヨン氏に集まり、結局フィヨン氏が勝利するという公算が大です。

 

ドイツ

ドイツでは827日から1022日までの間に、ドイツ連邦議会選挙が行われる見込みです。その日取りは未だ確定していません。

 ドイツ連邦議会(Bundestag)は、米国の下院に相当し、定数は630です。

 ちなみに上院は連邦参議院と呼ばれます。しかし実際にはドイツ連邦議会の方が優越しており、実質的には一院制と言っても過言ではありません。

 現在の勢力図は下の表(抜粋)のようになっています。

政党

議席数

特徴

ドイツキリスト教民主同盟(CDU)

254議席

メルケル首相の政党

キリスト教社会同盟(CSU)

56議席

CDUと連立政権を形成

ドイツ社会民主党(SPD)

193議席

 

左翼党(Linke)

64議席

 

同盟90(B90/緑の党

63議席

 

ドイツのための選択肢(AfD)

 

EU

 

このうち一番過激なのではAfDですが、AfDは他の政党から嫌われており、どの政党も連立政権を形成したがらないと思われます。

 言い直せば、ドイツの連邦議会選挙で大きな番狂わせが出るリスクは低いです。

 

イタリア

イタリアでは2017年中に解散総選挙があるかも知れません。最近力を伸ばしている政党、「五つ星運動」は、解散総選挙を望んでいます。もし五つ星運動が政権を取ると、イタリアのEU離脱を問う国民投票が実施される可能性があります。

 現在のイタリアの選挙法では代議院の第一党が自動的に過半数議席を付与されるルールになっています。すると勢いに乗る五つ星運動が他のどの政党より沢山得票した場合、過半数に達していなくても自動的に過半数議席を付与されるリスクがあるわけです。ちなみにイタリアの代議員の定数は630ですので過半数は316議席になります。

 

まとめ

以上、見てきたように2017年の欧州は選挙が目白押しです。2016年にBrexitで懲りた投資家としては、腰が引けてしまうのはムリもありません。

 しかし各国の状況を丁寧に観察すると番狂わせが出る確率は低いように思います。ユーロや欧州大陸の株価は、すでに悪いシナリオをかなり織り込んでおり、割安です。

 

マネーハッチ