
ダウ2万乗せ
1月25日(水)にダウ工業株価平均指数が2万の大台に乗りました。そこで今日は「ダウ2万乗せ」に何か特別な意味があるのか? について考察します。
歴史
ダウ工業株価平均指数は1896年にデビューした歴史の古い株価指数です。同指数を考案したのはウォールストリート・ジャーナルの出版元、ダウジョーンズ社を興したチャールズ・ダウです。
同指数は当初12銘柄でスタートし、その後、30銘柄に拡大されました。
一貫性が無い?
同指数は過去に51回、銘柄の入れ替えが行われています。一回の改変で、数銘柄が入れ替わることも珍しくありません。その意味では指数の一貫性、継続性という点では、大いに疑問があるわけです。
指数設立当初から現在まで残っている銘柄はゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)だけです。
また「工業株」と謳ってありますが、実際には銀行株や小売など、工業に関係ない銘柄も含まれています。
指数に採用される基準としては、「アメリカの株式市場を代表するような企業」ということになります。
「単純平均」という手法について
もうひとつ、同指数の特徴として「単純株価平均」という指数計算方法を採用している点が指摘できます。
つまり単純にダウ工業株価平均指数採用銘柄の株価を全部足し上げたものが、指数になるということです。(実際には株式分割でマーケットの動きとは無関係な理由で株価が半値になるケースなどがあるため、指数の継続性を維持するための除数で割算する作業が加わります)
値嵩株の動きが指数を歪める
単純株価平均ということになると株価が値嵩(ねがさ)の銘柄が指数を動かす影響力が強いことになります。
一例としてゴールドマン・サックス(ティッカーシンボル:GS)は236ドルしているので、30ドル付近で取引されているゼネラル・エレクトリックより7.9倍も指数に対するインパクトが強いのです。
しかし時価総額という視点からは、ゴールドマン・サックスは944億ドル、ゼネラル・エレクトリックは2710億ドルですから、時価総額ではGEの方が2.9倍も大きいわけです。
このように単純株価平均というのは、コンピュータによる株価指数算出が出来なかった時代の、古色蒼然とした手法なのです。
機関投資家はダウ工業株価平均指数を使わない
ダウ工業株価平均指数は、わずか30銘柄だけしかフォローしていないので、機関投資家が運用のベンチマーク(=比較対象)とするには、きわめて不適切です。
大半の機関投資家は、MSCI、ないしはS&P500指数を参考にしています。
つまりダウ工業株価平均指数は、おもにマスコミや個人投資家が話題にする株価指数であり、プロは殆ど気にしないということです。
そんなことからも、「ダウ2万」というのは、たんなる心理的な通過点であり、マーケットにとって大きな意味は無いと思います。