
ほぼ出そろった第4四半期決算
2016年第4四半期決算発表シーズンが続いています。これまでにS&P500指数採用銘柄のうち55%が決算発表を終えています。
一般に、決算発表は歴史のある大企業が先ず行い、中小企業は後になります。ナスダックに上場されている、比較的若い会社も、決算発表は遅いところが多いです。
最初から話が脱線してしまいますが、大企業の決算発表が早いのは、それだけ四半期決算を〆る手際が良いからだと言えるでしょう。
大企業はERP(エンタープライズ・リソース・プランニング=企業資源計画)ソフトウェアの導入などにより、製品の製造から販売、そして財務管理などの基幹業務を全て電算化しているところが多いです。従って、決算を〆ようとおもえば、いつでも直ぐに出来るのです。
これに対して小さい、若い企業の場合、仕事を進める段取りが、まだしっかり確立していないケースもしばしば見られ、そのような企業は情報管理に手続き上の断層がある、あるいて特定の個人の能力や経験に決算業務の多くを依存している、などの脆弱性(ぜいじゃくせい)を孕んでいることも珍しくありません。
もっとハッキリしたモノの言い方をすれば、決算をテキパキ〆ることが出来ない会社は、ダメな会社が多いのです。
さて、脱線はこのくらいにして第4四半期決算発表シーズの話に戻れば、S&P500指数採用銘柄の55%が発表を終えていると聞けば(なんだ、まだ半分じゃないか!)と皆さんは思うかも知れませんが、それはあくまでも会社数の割合に過ぎず、重要な企業の決算はほぼ出揃い、大勢は決しているのです。
いつもより悪い今回の決算シーズン
これまでのところEPS面で事前予想を上回った企業は65%、売上高面で事前予想を上回った企業は52%にとどまりました。これはどちらも近年の平均より悪いです。
アップサイド・サプライズ(=決算が予想を上回った幅)に関しては、EPSが総合して予想より+2.5%良かったのに対し、売上高は均してみると予想より0.1%下でした。これらはお世辞にも良い数字とは言えません。
金融とエネルギーがリード
セクター別では金融セクターのアップサイド・サプライズが+5.8%、エネルギー・セクターのそれが+4.3%で他をリードしました。
これらのセクターは、近年、アンダー・パフォームしてきたセクターでもあります。金融セクターに関しては、リーマンショックの後遺症からようやく立ち直ってきたこと、景気回復で融資が伸び始めたこと、金利の上昇で収益環境の好転が見込める事、トランプ政権がドッド・フランク法の厳格な実施に手加減を加える方向性を打ち出した事などでムードが好転しています。
エネルギー・セクターでは原油価格の底入れで、ようやく石油会社の業績が底打ちの様相を呈しています。
ガイダンス
ガイダンスとは、会社側の発表する今後の業績見通しを指します。ガイダンスは、出す会社もありますが、出さない会社もあります。
これまでに65社がガイダンスを提示しており、そのうち44社はネガティブ、21社はポジティブなガイダンスを出しました。
S&P500のEPS予想
最後に、現在のS&P500のEPS予想は下のようになっています。
2月6日のS&P500指数の引け値は2292.56なので:
2292.56 ÷ 132.16 = 17.35
が今年末のEPS予想に基づいた現在の株価収益率(PER)ということになります。
これは過去10年の平均である14.4倍より割高です。