2月28日の両院合同会議でのトランプ大統領の演説に注目

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両院合同会議

トランプ大統領は228日に上下院両院議員に対し演説を行います。

 これは通常、一般教書演説(The State of the Union Address)と呼ばれますが、大統領に就任した最初の年は「過去1年にこれをやりました」という報告には該当しないため、一般教書演説という用語は使われません。

 それはともかく、今回の演説では、トランプ大統領が税制改革法案に関し、具体的にどのような考えをもっているのか? が示される必要があります。

 

税制改革「トランプ案」が下院案と違う点

トランプ大統領が選挙期間中に公約した、いわゆる「トランプ案」は、ポール・ライアン下院議長とケビン・ブレディ下院歳入委員長の2人が中心となって策定した「Better Way」案(=いわゆる下院案)に大筋では似通っています。

 しかし両者には重要な相違点があります。

 その最たるものは、下院案には国境税調整が盛り込まれているけれど、トランプ案にはそれが無いという点です。

 国境税調整は輸入品に一律20%の関税を課し、米国企業が輸出する場合は、そこから上がる売上高や利益を法人税の計算から除外する(=実質無税)という措置を指します。

 この国境税調整により、向こう10年間で1兆ドルの増税が見込まれており、これが減税をする際の原資としてアテにされています。だから28日の演説で、トランプ大統領が国境税調整に難色を示すようだと、のっけから税制改革法案は暗礁に乗り上げるわけです。

 今回の演説ではトランプ大統領がその他の下院案の提案に関してどのように考えているのか、それが明確になればなるほど下院は仕事がしやすくなります。

 また「トランプ案」は減税を実現するための財源をどう確保するか? という点が不明瞭であり、それが28日の両院合同会議でのトランプ大統領のスピーチで明示されない限り、下院の財政保守派議員たちの賛同は得られにくいと予想されます。

 

下院が何から着手するかでスケジュールが大幅に狂ってくる

これらの問題に加えて、どういう順番で下院が懸案になっている色々な議案を処理してゆくか? という問題もあります。

 多くの共和党議員はアフォーダブル・ケア・アクトを、より良いヘルス・プランに置き換えることが優先だと考えています。

 しかし現在、すでにアフォーダブル・ケア・アクトのヘルス・プランに加入している国民のカバレッジを脅かすことなく、新しいプランへ移行させるのは、実際には大変複雑なスキームが必要となり、簡単には移行できません。

 また、そもそもアフォーダブル・ケア・アクトの代りになる新しいヘルス・プランが国庫に幾らの負担になるのか? というコスト試算が出来なければ、予算すら策定できません。

 現在の議会のルールでは、税制改革法案を単純過半数のみで成立させようと思えば、まず予算を策定することという事が規定されています。

 すると通常、税制改革法案は60%の賛成票、すなわちスーパー・マジョリティーを必要とするのですが、それを迂回し、「8年間だけの暫定税制改革法案」とすることで51%の賛成で議案を可決しようとする場合、まず予算を成立させることが必要となります。

 その予算案の策定には、アフォーダブル・ケア・アクトの代りになる新しいヘルス・プランの可決が必要になるので、そういうことをグズグズやっていたら、年内はおろか、2018年にも税制改革法案は成立しないリスクすら出てきます。

 

大型インフラ投資法案が犠牲に?

上に述べたように議会のスケジュールはぎっしり詰まっているので(このうえ大型インフラ投資法案を審議するのは、いくらなんでもムリなんじゃないか?)という声がトランプ政権の内部から出ています。

 トランプ政権の約束が、竜頭蛇尾になるかどうか、引き続き注目したいと思います。

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