フランス大統領選挙 第1回投票を前に投資家が知っておくべき事

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悪夢のシナリオ?

423日(日)にフランス大統領選挙の第1回投票がおこなわれます。その開票結果によっては極右候補と極左候補が決選投票に残るという、投資家にとって悪夢のシナリオも予想されます。

その場合、マーケットは急落するでしょう。

候補者の横顔

現在、4名の候補者が決選投票まで進む可能性を残しています。

この中でル・ペンとメランションは反EU(欧州連合)を掲げています。したがってこれらの2名が57日(日)の決選投票に進んだ場合、「フランスはEUを離脱すべきだ!」という世論が高まり、それはEUそのものの存亡にかかわる問題に発展するリスクがあります。なぜならフランスはドイツと並んでEUの中核国であり、フランスを抜きにしたEUなど考えられないからです。

マリーヌ・ル・ペン

マリーヌ・ル・ペン候補は有権者投票意向調査で他の候補をリードしており、いちばん決選投票まで進む可能性が高い候補者です。

 彼女は父親が始めた国民戦線という極右政党の党首です。国民戦線は「親ナチスではないか?」という疑惑がつきまとっており、幹部の多くが頭髪を短く刈り込んでいて、なんとなくファシズムの雰囲気が漂っています。

 マリーヌ・ル・ペンは、父、ジャンマリー・ル・ペンに比べると、ずっと柔らかな印象で、丁寧にそういうネガティブなイメージを払拭することに努めてきました。しかし公約を見ると反移民、保護貿易主義、親ロシア、反EUを掲げており、とりわけ「自分が当選したら、フランスのEU残留を巡る国民投票を実施する」と約束しています。

  EUは国民投票を嫌います。

 なぜなら、去年のブレグジット(英国のEU離脱を巡る国民投票)に代表されるように、国民投票は、とんでもない不確実性を持ち込むからです。フランスの国民の少なからぬ部分は移民に反対とかEUの権限を、もっとフランス政府に移譲して欲しいというような意見を持っています。

しかし「フランスはEUを離脱すべきだ!」という風にストレートに感じているフランス人は少数派です。これはフランスが20世紀に2度の世界大戦に巻き込まれ、欧州各国の利害を調整する、何らかの機関が必要だということを国民が痛感しているからに他なりません。

 従って、仮にル・ペンが大統領になり、国民投票……というシナリオになった場合でも、離脱派が勝利し、その結果、EUが瓦解するという可能性は低いです。

 ただ今週末の第1回投票で、極右・極左候補だけが残った場合、市場は大混乱すると思われます。

 フランスの大統領選挙の仕組みは、第1回投票でいきなり51%以上の過半数を獲得する候補が出れば、その候補が自動的に大統領になります。(この可能性は極めて低いです)過半数に達する候補者が居なければ、上位2名で決選投票になります。

 フランスの有権者の傾向として、第1ラウンドでは、いわゆる「プロテスト・ボート」、つまり現政権への批判票を投ずる傾向があるので、ル・ペン候補が有利です。 しかし決選投票になると、フランスの有権者は、急に保守的になると言われています。したがって中道・穏健派の候補と決選投票を争うシナリオでは、ル・ペンは勝ちにくいと思われます。

エマニュエル・マクロン

エマニュエル・マクロンは、下馬評では、大統領になる可能性が最も高い候補者です。彼はパリ政治学院、国立行政学院を卒業後、会計監査官、投資銀行ロスチャイルド金部、経済産業デジタル大臣を歴任するなど、ピカピカのキャリアを歩んできました。

 最も無難な候補なだけに、決選投票まで進むことが出来れば、政治の安定を求める保守票を集め、圧勝すると思われます。 

ジャン=リュック・メランション

ジャン=リュック・メランションは社会主義者で、「国民の全員に年間6週間のバケーションを義務付けるべきだ」、「6時間労働を制度化せよ」、「最低賃金を引き上げよ」、「リタイアメントの年齢を引き下げろ」、「年間所得40万ドル以上の高額所得者には90%の税率を課せ」というような、庶民の耳にこころよい、安易な公約を連発しています。

 しかし経済のことに明るい有権者なら、それは「お花畑」的な主張だとわかるはずです。

 メランションはキューバのフィデル・カストロやベネズエラのウゴ・チャベスなどの、南米型ポピュリズムにインスピレーションを受けています。それらの国々の経済がめちゃくちゃになっていることから考えて、メランション候補が勝った場合、震撼すべき悲惨な未来がフランスに到来することもありうるでしょう。

 それではなぜメランションのような泡沫候補が支持率を伸ばしているか? と言えば、それは彼が政治運動の大ベテランであり、有権者と「つながる」コツを心得ているからです。トークが巧いだけでなく、自分のキャラが登場する「財政コンバット」と題されたビデオゲームをリリースする、演説会場でスターウォーズばりの3Dホログラムを利用するなど、若者受けする小道具をいろいろ用意しているわけです。

 メランションは「自分が当選すればEUとの間でリスボン条約(=EU憲法)を再交渉する」、「EU離脱も可能性として残す」、「IMF(国際通貨基金)やNATO(北大西洋条約機構)からも脱退する」と公約しています。

 フランスにとって、最も憂慮すべき候補者です。

フランソワ・フィヨン

フランス共和党のフランソワ・フィヨン氏は一時有力候補と見做されていましたが、スキャンダルの影響でレースから劣後しています。フランス共和党とは聞き慣れない政党名かも知れませんが、2015年に改称されたばかりの政党です。旧名は国民運動連合(UMP)という名前でした。

 フランス共和党は中道右派で、米国の下院に相当する国民議会での議席数の34%を占めています。また上院に相当する元老院での議席数は41%を占めています。

 フィヨン氏はサルコジ政権で首相を務めた経歴を持ち、候補者としての資格は十分だと思います。ただ公約をみると「小さな政府」、「減税」、「労働市場の改革」など、どちらかといえば社会主義色が濃いフランスにおいては、ちょっと国民から共感を得にくい公約が多い気がします。

まとめ

1回投票で極右、極左候補だけが残った場合、欧州株式市場は急落すると思います。またユーロも売られる可能性があります。

 その反面、マクロン、フィヨンのどちらか1名が決選投票に進むことが判明したら、欧州株式市場ならびにユーロは急反発すると思われます。

  • 写真:マリーヌ・ル・ペン:Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com
  • 写真:エマニュエル・マクロン:Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com
  • 写真:ジャン=リュック・メランション:GERARD BOTTINO / Shutterstock.com
  • 写真:フランソワ・フィヨン:GERARD BOTTINO / Shutterstock.com
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