
雇用統計
6月2日に発表された非農業部門雇用者数は予想18万人を下回る13万8千人でした。
3月と4月の数字も合計で6万6千人下方修正されました。
失業率は4.3%でした。
これは一見すると素晴らしい数字にみえるのですが、労働力率は下がっています。
一方、平均時給は4¢の伸びにとどまりました。前月の数字も下方修正されています。
つまり失業率が低いにも関わらず、賃上げ圧力は強くないのです。
先週は、ISM製造業景況指数も発表されたのですが、こちらも若干景気に陰りが出ていることを示唆する数字でした。
6月14日の連邦公開市場委員会のシナリオ
これらのことを総合すると、6月14日の連邦公開市場委員会の政策金利の発表では、たぶんフェデラルファンズ・レートは市場参加者の予想通り0.25%引き上げられて1.25%になるだろうけれど、それ以降の本年度中の利上げは、もう無いというシナリオが濃厚になってきています。
経済政策の手詰まり感と高まる景気後退リスク
トランプ政権は議会と協力して政策立案を進めることがとても下手です。この様子を見て、投資家は税制改革や大型インフラ投資計画などの実現を、もう諦めてしまった観があります。
下は10年債利回りから2年債利回りを引き算した「差」を示したチャートです。
普通、景気が強い局面ではこの金利差は拡大、すなわちチャートが上昇します。しかし11月8日にトランプ勝利が判明した後、急騰したこのチャートは、その上昇分を全部吐き出してしまったのです。
この状態で更に政策金利を利上げすると、この金利差はさらに縮まり、それは景気失速のリスクを増加させます。
このため6月14日のFOMCでの利上げをもって、利上げは「打ち止め」とし、しばらく様子を見るというシナリオが強まっているのです。
為替の見通し
そのことは基本、ドル安になりやすい状況だと言えます。折から先週発表されたドイツ製造業購買担当者指数はとりわけ強かったです。