英国議会選挙のポイント 保守党の足の引っ張り合いでメイ首相が失脚するシナリオも

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今日がいよいよ投票日

英国議会の総選挙が今日(68日)実施されます。

イギリスには米国の上院に相当する貴族院(House of Lords)と米国の下院に相当する庶民院(House of Commons)があります。
このうち貴族院議員は世襲や一代貴族と呼ばれる爵位を授けられた名士によって構成されています。したがって選挙はありません。
つまり今回の議会選挙は庶民院の議席を巡って行われるというわけです。

保守党が過半数を取れないリスクあり

調査会社ユーガブによると、今回の選挙では、保守党(トーリー)が304議席、労働党(レーバー)が266議席、SNPが46議席、その他が35議席を獲得すると見られています。

すると過半数が326議席なのでテリーザ・メイ首相の保守党は過半数に達しない可能性があるのです。

第一党が50%の多数を占めることができない状態を、英国では宙吊り議会(Hung Parliament)と呼びます。
英国議会の仕組みを説明するハンドブック「How the Parliament Works」によると、宙吊り議会の状態になると「何も決められなくなり、議会が漂流する」と説明されています。
さらに「宙吊り議会の状態になったら、女王の任務は難しくなる。各政党の議席数が確定するなり政党間で連合政権を形成するだけの共通の利害があるかどうかの腹の探り合いになる。この場合、閣僚は複数の政党から出される。また一つの政党が政権を握り、もうひとつの政党が正式にそれを支持するというやりかたもある」と述べられています。

メイ首相退陣も

今回の解散総選挙は4月にメイ首相によって突然発表されました。これを発表した当時、保守党の人気は高く、(いま解散総選挙をやれば保守党のリードを一層確実なものとし、それがブレグジットの交渉を進めやすくする)という読みがありました。
しかしその後、保守党の人気はどんどん剥げてきて、いまでは過半数の確保すら覚束ない状態になっているというわけです。
保守党は仲間内での足の引っ張り合いがひどい政党として知られています。だから解散総選挙を宣言したメイ首相に対し、辞任を迫る保守党員が出ることも予想されます。

メイ首相は去年の英国の国民投票が番狂わせで離脱派の勝利に終わり、保守党のトップがガラッと入れ替わった際、迷走する政局をまとめ、ブレグジット交渉をしっかり前進させました。つまり「一定の手腕を見せた」と市場は評価しているのです。

そのメイ首相が辞任することになると不確実性が高まると思います。

ブレグジットに対する各政党の立場

保守党が過半数を取れず、かろうじて第一党だけは確保した場合、連立政権を形成することになります。
その際のパートナーとして一番自然なのは北アイルランド民主統一党です。また自由民主党(LDP)もパートナーに成り得ると思います。

ブレグジットに関する保守党と労働党の立場を再確認しておきましょう。
保守党はEUから離脱することで肚が決まっています。しかし欧州市場に対しては無関税を要求する構えです。
これに対し労働党はEUからの離脱は同じですが、無関税を欧州との交渉で要求するかどうかは、まだ態度を明らかにしていません。
さらに自由民主党はEU残留を主張しており、国民投票のやり直しを主張しています。
このことは保守党が自由民主党と連立政権を形成した場合、不協和音を醸し出す可能性があることを示唆しています。

まとめ

テリーザ・メイ首相による解散総選挙の賭けは保守党の地位後退というカタチで失敗に終わる可能性が高いです。保守党が過半数を取れないかもしれないことは既に市場には織り込まれています。

保守党は党内での足の引っ張り合いが激しいことで知られているので、これをきっかけにメイ首相が降ろされる可能性もあります。そのシナリオは未だ相場に織り込まれていないと思います。

マネーハッチ   

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