上院共和党ヘルスケア法案が頓挫 次の焦点は2018年度連邦予算法案

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上院共和党ヘルスケア法案が頓挫

オバマケアに代わる筈だった上院共和党ヘルスケア法案が717日(月)に頓挫しました。仮に採決をしたところで、じゅうぶんな賛成票を取り付けることが出来ない事が確実になったことが、断念した理由です。

 

なぜヘルスケア法案を優先した?

今年1月にトランプ大統領が就任した際、ウォール街は(まず税制改革に着手して欲しい)と願っていました。
しかしこの期待とはウラハラに、共和党はヘルスケア法案を優先しました。
共和党がその決断に至った理由は、医療費は連邦予算の中で大きな費用項目であり、それを都合の良い方向で改変できれば、今後の予算審議、ひいては税制改革論議もやりやすくなるからです。

 

ヘルスケア法案は党内の意見が割れやすい議案だった

しかし、ヘルスケア法案は共和党内で最も意見が分かれる議題のひとつです。

そもそもトランプ支持者の中には、オバマケアの登場で、ようやく医療保険に加入できた有権者が多かったです。 オバマケアはメディケイド(低所得者向け医療保険制度)予算に補助を出しています。だからオバマケアが無くなってしまうと、メディケイドも弱体化すると危惧した議員が多かったです。

これらのポピュリスト的な一派が、「小さな政府」を標榜する財政保守派と真っ向から対立したのです。 結局、今回、共和党ヘルスケア法案が頓挫したことで、議会は半年に及ぶ貴重な時間をムダにしたことになります。

 

今後のスケジュール

さて、議会は81日から夏休みに入ります。すると次に本格的に議会が動き出すのは94日(月)のレーバー・デーの翌日からです。
しかし、その前に共和党は2018年度の連邦予算法案を少しでも進めておきたい考えです。

すでに下院共和党は718日(火)に2018年度連邦予算下院案を発表しています。 その下院案にはフード・スタンプのプログラム(=低所得者層向けの食料費補助)を削減することが盛り込まれています。これには共和党内で反対意見も多く、今後、揉めることになりそうです。 下院予算委員会は今週にもこの「下院案」を承認し、すみやかに採決に移りたい考えです。

 

リコンシリエーションという「奥の手」

共和党が予算案可決を急いでいる理由は、予算の成立が、リコンシリエーション(調停)と呼ばれる、変則的な立法手続きを援用したいと考えているからです。
通常、重要法案は、上院の60%の賛成を必要とします。

現在の共和党は上院の定数100議席に対して52議席しか占めていません。従って、通常のやり方では60%に届かないわけです。
しかしリコンシリエーションを使えば、51%で法案を可決できます。つまりリコンシリエーションは現在の共和党にとって大変好都合な規定なのです。

ただし、リコンシリエーションの援用に際しては二つの大きな条件がつきます。
まずそれを使って成立される法律は、10年しか有効ではないと言う点です。
次にリコンシリエーションを利用するためには、まず予算を可決しないといけないということです。

共和党が夏休みを前に駆け込みで予算法案を詰めているのは、そういう事情によります。

 

マーケットの反応

上院共和党ヘルスケア法案が頓挫したニュースで、ドルは売られています。これは(共和党はまとまりを欠き、何も決められないので、たぶん税制改革もムリだろう)という諦観が、市場参加者に広がったことが原因です。
ドルの弱い地合いは、しばらく続くと考えられます。ただ、予算はいずれ成立すると思いますし、歴史的に税制改革法案は議員さんたち情熱を傾けて取り組む案件なので、いずれ悲観一色の状況には訂正が入ると思われます。

 

マネーハッチ   

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