プリーバス大統領首席補佐官の更迭で税制改革の可能性は遠のいた

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プリーバス大統領首席補佐官の更迭

728日(金)、トランプ大統領はホワイトハウスで実質的なナンバー・ツーでありラインス・プリーバス大統領首席補佐官を更迭しました。後任にはジョン・ケリー国土安全保障長官が就任します。
この人事はホワイトハウスのスタッフの中で、共和党とつながりが深い面々を次々に解任し、その代り軍人経験者を重用する、最近のトランプ大統領の人事戦略を踏襲するものです。

 

今回の人事が持つ意味

プリーバス氏はトランプ政権入りする前は共和党全国委員長を務めていました。その関係で共和党内では顔が広いです。
また税制改革法案を立法するにあたりキー・パーソンの一人であるポール・アイアン下院委員長と親しいです。このためプリーバス氏は税制改革法案の根回しに欠かせない人という認識がワシントンDCでは定着していました。

今回、そのプリーバス氏をトランプ大統領が更迭した理由は、下院共和党ヘルスケア・プランの頓挫に代表されるように、議会との折衝の面で、トランプ大統領がプリーバス氏の働きぶりに落胆されられたことによると思います。
さらに言えば、トランプ大統領は議会で何も決められない共和党とは距離を置き、超党派の合意形成を目指し民主党に接近するシグナルを送っているとも受け止められます。 実際、上院共和党はオバマケアを廃案にする投票でも過半数を獲得できませんでした。

つまり(下院、上院、大統領の全てが共和党なので、この際、民主党は無視して共和党だけでどんどん立法をすすめてしまおう)という当初の考えは、甘かったことが証明されたのです。
トランプ政権は、未だ実績らしい実績を何も挙げていません。それを考えると、このへんでリセットするのは当然の成り行きだと思います。

しかし民主党を巻き込み、超党派での合意形成を目指すと言っても、去年の大統領選挙でトランプ大統領と民主党の間には深い溝が出来てしまっています。だから民主党議員が易々とトランプ大統領に賛同するとは考えにくいです。

 結論的には、プリーバス氏の更迭は、税制改革法案成立の可能性がさらに遠のいたことを意味すると思います。

 

今後のスケジュール

先週金曜日、上院がオバマケアの廃案に関する票決を行いましたが、これが賛成票不足のため否決されました。それは、上院共和党は、今後の進め方に関し、「ノー・アイデア」になってしまったことを意味します。

既に下院は夏休みに入っているので、上院が夏休みを返上し議案を可決、下院に回したところで、それは下院でストップしてしまいます。そんなこともあり上院では(もういい。兎に角、夏休みを取って、9月から仕切り直そう)というムードが広がっています。

マーケットにまつわる、この次のイベントとしては824日から26日にかけてワイオミング州ジャクソンホールで実施される経済政策シンポジウムが注目されています。過去においてジャクソンホール・シンポジウムは、FRBが下半期の金利政策に関しアドバルーンを上げ、市場の反応を見る場として利用されてきました。

今回の場合、焦点になるのはFRBのバランスシートの圧縮を、いつから始めるか?ということだと思います。なお、圧縮額に関しては、すでに下のようなプランが公表済みです。


レイバー・デー明けの95日(火)から、議会は急に忙しくなります。具体的には2018年度の予算を審議、可決しなければいけませんし、連邦債務上限の引上げも可決する必要があります。下院が示した2018年度連邦予算では、人気のあるフード・スタンプ・プログラム(低所得者向け食料費補助)の削減が盛り込まれています。これは相当抵抗が出ると思われます。連邦債務上限の引上げがテキパキまとまらないようだと、一部の連邦政府機関がシャットダウンの憂き目に遭う可能性もあります。

過去にも連邦政府のシャットダウンは事例があります。だからマーケットがこの材料でパニックするとは思えません。
ただ、ワシントンDCの機能不全が目に余るようなら、投資家のセンチメントが暗転することは覚悟すべきだと思います。

 

マネーハッチ   

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