韓米年次合同軍事演習が資本市場に与える影響について

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韓米年次合同軍事演習

821日から31日まで乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアンと呼ばれる、韓国と米国による合同軍事演習が行われます。この演習は、両国から1万人を超える兵士が参加して行われる大規模な演習であり、毎年、開催されています。
なおこの演習は、ずっと以前から計画されていたものであり、最近の北朝鮮・米国間での緊張の高まりを受けて急遽設定されたものではありません。

なぜ北朝鮮は「グアムにミサイルを撃ち込む」と発言したのか?

さて、北朝鮮は、これに先立ち「必要があれば四つの中距離ミサイルをグアムから18~25マイル離れた近海に撃ち込む」と発表しました。
今回の発表は、これまでにも増して具体的であり、その点で過去の北朝鮮の声明とは一線を画しています。
なぜ北朝鮮は、このような具体的な発表をしたのでしょうか? 

それは韓米合同軍事演習に乗じて、アメリカが北朝鮮のミサイル施設を先制攻撃する可能性があるからです。北朝鮮は、それをけん制するため、今回の発言をしたのです。
実際、合同演習に先立ち、グアムのアンダーセン空軍基地からはこの演習に参加するため沢山の軍用機が飛び立つため、演習にみせかけて、実は北朝鮮を叩くということは、荒唐無稽なシナリオではないです。
中国の政府系メディアは「もし近隣国が米国に威嚇攻撃をした場合、中国は中立の立場を貫く」と北朝鮮に自制を求めました。しかしそれと同時に、英語版政府系メディアのグローバル・タイムズでは「米国と韓国が北朝鮮に攻撃を仕掛け、政権の転覆を狙った場合、中国はそうならないように行動する」とアメリカならびに韓国をけん制しています。

このように、北朝鮮を巡る対立は、1962年のキューバ危機を彷彿とさせるような展開になっているのです。

北朝鮮が実際にグアムにミサイルを撃つことは無い?

北朝鮮が実際にグアムにミサイルを撃つ可能性は低いと思われます。なぜなら北朝鮮のミサイル技術は声明文が誇示しているような正確さを備えていないし、ミサイル発射が不成功に終わるリスクもあるからです。
またグアムは北朝鮮から見ると、日本を挟んで反対側に位置しているため、飛距離が出なかった場合、西日本に着弾するリスクもあります。
もしそうなると日本と北朝鮮の関係は一気に悪化すると思われます。

また北朝鮮のミサイル技術が、その野望に追いついていないことを露呈することにもなるでしょう。
あるいは北朝鮮のミサイルが、まんまとグアム近海に着弾した場合は、アメリカの態度を一層硬化させるリスクもあります。
それらのことから、これが成功しようとも、失敗しようとも、北朝鮮側にとってメリットは少ないのです。
そもそも北朝鮮はアメリカが合同軍事演習に乗じて北朝鮮を先制攻撃しないように牽制する意味で今回の発言をしたわけですから、アメリカが先制攻撃をかけなければ、それで目的は達成したことになります。このようなことから、今回のメイン・シナリオは、「アメリカは北朝鮮に先制攻撃しないし、北朝鮮もグアムに向けてミサイルを撃たない」というシナリオになります。

マーケットのシナリオ

さて、ようするに「何も起きない」というのがメイン・シナリオであることを説明しましたが、それでも未だ演習開始まで10日間弱あるわけで、その間、市場参加者の間ではリスク・オフのスタンスを取る投資家が増えることは容易に想像がつきます。
具体的には、円は引き続き強含むと思われます。それを嫌気する格好で、日本株は軟調にならざるを得ないでしょう。ゴールドはこのところのトレーディング・レンジの上限($1,300)付近に来ていますが、これを試す展開になるでしょう。

もしアメリカが合同軍事演習に絡めて何かやるとすれば、韓国に駐留する米軍の家族などの非戦闘要員の退避勧告をする可能性があります。それが出ない限り、アメリカ側からの先制攻撃は無いはずです。
実際に合同軍事演習が始まれば、「今回は先制攻撃が無かった」ということが明白になるので、上で述べたリスク・オフのトレードの巻き戻しが起こる可能性があります。その場合はドルや米国株が買われることになると思います。
しかし米国経済や米国株式市場は、好調な中にも、やや「疲れ」が見えてきています。従ってリスク・オフの巻き戻しの買いは、案外、短命に終わる可能性があります。

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