ジャクソンホールは肩すかし。金利政策への言及なし、但しイエレンとドラギの置かれた立場は正反対

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ジャクソンホールシンポジウム

先週金曜日、ワイオミング州ジャクソンホールで開催されたカンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムでジャネット・イエレンFRB議長とマリオ・ドラギECB総裁がスピーチしました。

結論的には、イエレンもドラギも、金利政策に関し一切言及しませんでした。

 

立場の違い

しかし両者の置かれた立場は、正反対と言ってよいほど違います。

つまりドルは過去2年の最安値を更新中であり、これと対照的にユーロは高値を追っているということです。 

ドル安は米国の企業にとって金融緩和したのと同じ効果をもたらします。

ユーロ高は欧州の企業にとって金融引締めしたのと同じ効果をもたらします。

だから今回、それぞれの中央銀行総裁が「何もしなかった」ということの持つ意味は、180度異なるのです。

FRBの場合、予定していたFRBのバランスシートの圧縮が開始できないことを示唆しています。これは弱い立場です。

ECBの場合、ユーロ高でユーロ圏内の輸出産業がこうむるダメージを、いまのところ中央銀行が救いの手を差し伸べなくても何とかしのぐことができることを示唆しています。これは強い立場です。

 

9月のスケジュール

米国は9月に入ると二つの大きなイベントが控えています。それらは1)2018年度連邦予算案の可決、2)連邦債務上限の引上げ、の2つです。

このうち2018年度連邦予算案の可決は9月末日までにやりとげる必要があります。なお予算は重要議案なので上院の60%の賛成を必要とします。つまり共和党議員だけではスーパー・マジョリティーに達しないので、民主党議員からの賛成もとりつける必要があるということです。

もし期日までに予算案が可決しなかった場合、一部の連邦政府機関がシャットダウンするリスクがあります。実際、2013年にも同様のことがあり、一部政府機関が2週間ほど閉鎖されました。

しかしその影響は比較的軽微なものになると予想されます。具体的にはヨセミテなどの国立公園がシャットダウン期間は利用できなくなるといった感じです。

だからマーケットに対する影響は、それほど大きくないと思われます。

一方、連邦債務上限の引上げのタイムリミットは10月のある時点で到来します。実は米国連邦政府はすでに暫定的な「やりくり」を行っており、そのような特別措置によるデフォルト回避が万策尽きるのが10月のある時点だということになります。

こちらの方は、もし米国連邦政府がデフォルトすると、マーケットにある程度影響が出ると思います。

一方、欧州では9月24日にドイツ連邦議会選挙が執り行われます。こちらはたぶん番狂わせ無くドイツキリスト民主同盟(CDU)が最多議席を獲得すると見られています。

 

まとめ

ジャクソンホール・シンポジウムでは具体的な金利政策への言及はありませんでした。しかし米国と欧州の置かれた立場は、かなり違います。米国の立場は弱く、欧州の立場は強いです。9月以降のスケジュールを見ても、不安材料はアメリカの方が多いです。

マネーハッチ