次期FRB議長の人選について

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時期FRB議長の人選が大詰め

次期FRB議長の人選が大詰めを迎えています。
FRB議長は大統領が指名し、上院が承認するという手続きを経ます。
現在、トランプ大統領は候補者との面談を重ねており、候補を絞り込んでいます。

 トランプ大統領は、ジャネット・イエレンFRB議長に、あと4年間議長を続けてもらう方向に傾いていると言われています。その場合は市場に与える影響は無いと思います。その他の可能性として、ジェローム・パウエルFRB理事、スタンフォード大学のジョン・テイラー教授、ケビン・ウォーシュ元FRB理事、ゲーリー・コーン国家経済会議委員長の名前があがっています。

候補者

意見

特色

ジャネット・イエレンFRB議長

ハト派

バーナンキ前FRB議長の路線を踏襲

ジェローム・パウエルFRB理事

ハト派

生産性低迷を踏まえ低金利維持を主張

ジョン・テイラー教授

タカ派

テイラー・ルールの考案者

ケビン・ウォーシュ元FRB理事

タカ派

全員一致主義に疑問を投げかけている

ゲーリー・コーン国家経済会議委員長

ハト派

市場の機微に精通

そこで簡単に各候補の横顔を紹介したいと思います。

ジェローム・パウエル

ジェローム・パウエルは投資銀行ディロン・リード、防衛産業やワシントンDCに太いパイプがあるプライベート・エクイティー・ファンドのカーライル・グループなどを経てFRBの理事に就任しました。またブッシュ(父)大統領の財務次官を務めたこともあります。

 イエレン議長を除けば、次期FRB議長になる可能性が一番高い人だと思います。

 パウエルは数年前から利上げ慎重論を唱えています。
その根拠として「2010年以降、米国の生産性は年率0.5%でしか成長していない。これは第二次世界大戦以降最低の成長率であり、しかも第二次大戦以降の平均成長率の僅か4分の1だ。過去に生産性成長の低迷を見た1974年から1995年の平均は1.5%だったから、そのときより今の方がずっと低い。ちなみにドットコム・ブームがあった1996年から2005年までの平均は3%だった。生産性の低迷は米国だけの問題ではなく世界的な現象だ。その原因としては設備投資が低水準であること、技術革新による生産性向上も低調だということ、そして経済のダイナミズム自体が失われていることなどが指摘できる」としています。
そこで「FRBはインフレが昂進しない限り低金利を維持し、その間に政府は先行投資を奨励するような政策を打ち出す必要がある」とパウエルは主張しています。

この考え方は、トランプ大統領の考え方とピッタリ呼吸が合っているので、パウエルを差し置いて他の、よりリスキーな候補者を指名するメリットは、余り無いように見られます。
強いてパウエルの難点を言えば、大統領の意のままに操られるリスクがあるという点でしょう。
過去に大統領がFRB議長に「低金利を維持しろ!」というプレッシャーをかけた事例は何度かあります。そのような政治的に演出された低金利は、禍根を残すケースが多かったです。

ジョン・テイラー

ジョン・テイラーは、有名な「テイラー・ルール」を考案したスタンフォード大学の教授です。
スタンレー・フィッシャーFRB副議長などとも親交があり、学者としてのクレディビリティーは申し分ないと思います。
ただ、高齢であること、「テイラー・ルール」に従えば、FRBはもっと利上げしなければいけないこと、などから考えて、可能性は低いかも知れません。

ケビン・ウォーシュ

ケビン・ウォーシュはモルガン・スタンレーでM&Aのバンカーをやっていた人です。その後、2006年に35歳の若さでFRB理事に指名されました。
ウォーシュの奥さんは化粧品会社エステー・ローダーの子息で、ローダー家はトランプが選挙戦を戦っている時に支援した関係もあり、家族ぐるみの付き合いだと言われています。しかし逆に言えば、大統領が指名したFRB議長を上院が承認する際、必要な60票の賛成を取り付けることが出来ないリスクもあります。

またウォーシュはバーナンキ前FRB議長が打ち出した、コンセンサスを重視するFOMCのスタイルを「ぬるい!」と批判しています。
ウォーシュはマーケットを良く知っているだけに、時として機敏で断固としたFRBの行動が必要となる局面もあることを言っているのだと思います。

ただ、ウォーシュのスタイルは、物議を醸しだしやすいため、指名を受ける可能性は低いと思います。

ゲーリー・コーン

ゲーリー・コーンはゴールドマン・サックスの社長兼共同COOを務めた人です。
トランプ政権では大きな発言力を行使してきましたが、最近は大統領との関係が冷めており、FRB議長に指名される可能性は低いと言われています。