再び期限が迫る2018年度予算と連邦債務上限の引上げ

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再び期限が迫る2018年度予算と連邦債務上限の引上げ

9月にトランプ大統領は下院少数党院内総務ナンシー・ペロシ(民主党、カリフォルニア州選出)、上院少数党院内総務チャック・シューマー(民主党、ニューヨーク州選出)の両リーダーと手を結び、電撃的に連邦債務上限を暫定的に引上げるとともにハリケーン被災地への救援予算を成立させました。

そのときは、ちょうどハリケーンの被害のニュースがどんどん入ってきている最中で議会のコンセンサスを形成しやすいムードでした。

多数党である共和党は、大統領が自党を「裏切って」民主党リーダーと手を結び、サッサと暫定延長措置をまとめ上げてしまったことに驚きと反感を抱きました。しかし災害という緊急事態が発生中でしたので、空気を読み、即座にそれに従いました。

その時の合意で、128日までは連邦政府の予算のやりくりが出来ることが決まりました。しかし、いま、再びその期限が迫っており暫定措置に代わる新しい合意が必要となっています。

新しい交渉

さて、今回の交渉でトランプ大統領はナンシー・ペロシ、チャック・シューマー両リーダーに対し、前回とは打って変わって対立路線を打ち出しています。
風向きの変化を感じとり、二人の民主党リーダーは、1128日に予定されていたトランプ大統領との会談を突然キャンセルしました。

今回、争点となっているのは、直接予算審議とは関係の無い、必要な証明書類の無い移民の子供たち(undocumented immigrants)の問題です。

不法移民がアメリカ国内に潜入し、アメリカで子供が生まれた場合、親は身元がばれることを恐れて出生証明書の取得など必要な手続きをしません。すると子供はアメリカで生まれたので本来ならアメリカ国籍を取得できる立場にありながら、それを証明する書類が無いので不法移民扱いになってしまうわけです。

この問題に対し、オバマ前大統領は彼らを「ドリーマーズ(夢を見る人)」と位置付け、国外退去を猶予する措置を講じました。

しかし、トランプ大統領はオバマ全大統領の出した大統領令を終了し、その代り議会に対し、20183月までに代案を出すよう要請しました。

民主党は、この「ドリーマーズ」救済措置の終了に反発しており、これからはじまる債務上限引き上げ論議を駆け引きの材料に使う考えです。 

予算を成立させるには、上院で60票の賛成が必要です。上院の定員は100議席で、共和党は52議席しか占めていません。つまり民主党議員から最低8票の賛成が必要になるのです。

ごく短期では、暫定措置の再延長は可能ですので128日に直ぐに連邦政府機関の一部閉鎖が起こる可能性は低いです。しかしいずれ2018年度予算は成立させる必要があります。

これとは別に現在議会では税制改革法案も動いており、クリスマスまで超過密スケジュールとなっています。

マーケットへの影響

連邦政府機関一部閉鎖リスクと聞くと、投資家は「やれやれ、またか」と毎回繰り返されるドラマにウンザリした気持ちになります。
そのことは、投資家が馴れっこになっていることを意味し、その分、マーケットへのインパクトも薄れていると言えるでしょう。

現在、アメリカ経済は好調であり、少々のショックに対しては耐性が備わっています。

したがって、リーマンショックの傷がまだ癒えていない2011年当時の債務上限引き上げ論議に比べれば、今回のそれが経営者や消費者のマインドに悪影響を及ぼすことを心配する識者は、殆ど皆無です。