ETFとは何ぞや、実例で知る

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ETFについて、おさらいしてみましょう。

 

ETFとは何ぞや? 

 

・・・という難しい話は一旦横に置いておいてその活用方法を復習してみたいと思います。 

 

ETFの一番わかりやすい銘柄は 【株価指数への連動】 です。

これは理解がしやすいですね。

日経225、米国のダウ指数、米国のS&P500などの株価指数に連動したETFのことです。

よく勉強をしている方は、ここでひとつの疑問が浮かぶかもしれません。日経225だったら『225先物』を買えばいいんじゃないの?何が違うの?

・・・という疑問です。

 

いろいろ違いがありますが、ざっくり言ってしまえば

 

・ 225先物は短期売買用

 225に連動したETFは中長期の保有用

 

・・・と言い切ってしまっても良いかもしれません。『225先物』には乗り換え(ロールオーバーと言われる)の手間やコストがかかりますが、一方でレバレッジ(てこの原理)を効かせた小資金での回転売買には非常に強いです。

 

つまり逆の言い方をすれば『中長期の資産運用を前提にした場合には、225先物は向いていない』

・・・といえます。  

もっとよく勉強されている方は、こんな疑問も浮かぶかもしれません。日経225に連動したCFD(差金決済取引)でも同じなんじゃないの? 

確かに日経225に連動したCFDは、中にはロールオーバー(乗り換え)の必要のない銘柄もあることにはあります。税制面やレバレッジ(てこの原理)など、こちらもいくつか違いがありますが、ざっくり言って『CFDも短期売買用と考えてよい』と思います。

 

そうは言っても、かつては大口のファンドも 【225先物】 などを積極利用していましたが、最近ではETFを活用することが圧倒的に増えました。皆さんご存じの通り、日銀のETF買い入れ施策もそうですね。

 

それだけ、『ETFは使い勝手が良い』という何よりの証拠です。 

 

ETFと株価指数の連動・・・というお話の途中なのですが、それ以上に、ETFの凄さを実感してもらうにはクドクド説明するより実例を見ていただきましょう。

 

つい最近、米著名投資家ジョージ・ソロス氏の率いるソロスファンドがETFを大量買いしている記事が載っていました。

 

2016年11月16日の日経新聞の記事より

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米ソロス・ファンド 日本株ETFを37億円購入 7~9月、LINEも1億円保有

2016/11/16付日本経済新聞 朝刊

 

    米著名投資家ジョージ・ソロス氏の率いるソロス・ファンド・マネジメントが7~9月期に、日本株に投資する上場投資信託(ETF)を3411万ドル(約37億円)購入したことが15日までに分かった。個別株ではLINEを96万ドル(約1億円)保有していることも明らかになった。 米証券取引委員会(SEC)に現地時間14日、提出した四半期の保有有価証券報告書で分かった。

 報告書によると今回投資したのは、米国では代表的な日本株ETFとされる「ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド」。為替ヘッジ付きで市場平均並みの運用成果を目指すのが特徴だ。足元の運用資産残高は7500億円規模。

 ソロス氏の保有は前回の報告時(6月末時点)には確認されなかった。日経平均株価が6月24日に年初来安値(1万4952円)を付けて以降、9月に1万7000円台を付ける過程で持ち高を増やしたとみられる。

  波乱相場で収益を上げる手法で知られるソロス氏。米大統領選後、「トランプ相場」でどのような日本株投資戦略を練っているか注目が集まる。 

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この記事から次のことがわかります。

 

  •  ソロス・ファンドは、日本の証券会社に口座を開くことなく、米国通貨だけを使い、現地でETFを購入するだけで、(事実上)日本株全体に投資することが出来た。しかも、為替の変動を(ほぼ)完全に回避して。 

 

・・・ということになります。  

 

何気ないことのようですが、以前なら極めて複雑で、手間とコストのかかる投資手法を、ETFを使うことであっさりと実現していることに注目です。これはソロスファンドだからできたわけではなく、ETFを購入するだけですから、米国にいる個人なら誰でも同じ投資ができるわけです。

 

ちなみに今回ソロス・ファンドが購入したETFは以下の説明がわかりやすいかもしれません。

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「ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド(DXJ)」は、円ドルをヘッジすることで、日本株の値動きを直接USドルベースで享受できるというETFです。(楽天証券より)

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それから、参考までに、この「ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド(以下DXJ)」への組み入れ銘柄はこんな感じです。ウィズダムツリーの公式HPより

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日本の代表的銘柄が並んでいますね。つまり、ご覧の通り、「ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド(以下DXJ)」は『225先物』や『TOPIX』にそのまま連動するわけでは決してありません。しかし、(ほぼ)日本株全体の値動きに連動するように作られているわけです。

 

DXJにどの銘柄を組み入れるのかどうかは、このETFを組成(発行)している会社(DXJの場合はウィズダムツリー社)の裁量判断によってくる部分があります。そこは多少注意したい点ではありますが、ほぼ無視してもいいレベルだと思います。 

ちょっと話が難しくなってしまったでしょうか?

 つまりは、ETFというのは、この例のように 【極めて柔軟性と可能性に満ちたもの】 であることが良く分かる、と同時に研究に値する価値は十二分にあるということです。

 

冒頭で先物やCFDとの違いを説明しましたが、それら説明などは霞(かす)んでしまう程の違いを感じませんか?

  

自身の資産を膨らませる為に、大手のファンドと同じ手法がETFを活用することで簡単に出来るわけです。

 

どうですか?ETFを勉強したくなりますね。