
マイホームの購入や子どもの教育、さらに老後の暮らしといったように、将来を見据えれば相応の資金を蓄えておく必要があります。しかし、マイナス金利が現実となっている国内で、預貯金などによってお金を増やすことはもはや難しいでしょう。
やみくもに資金を動かしても、期待していたような成果は得られません。そればかりか、大切な資金を減らしてしまう恐れも出てきます。より安定的な成果をめざしていくのが王道であり、それを実現するうえでは「ETFを活用した分散投資」が非常に有効な選択肢となってくるでしょう。
■投資をするうえで重要なのは
ETFは『Exchange Traded Fund』の略称で、「指数連動型上場投資信託」とも呼ばれ、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など、特定の指数に価格が連動するように設計された投資信託の一種です。日本国内のみならず、米国のS&P500をはじめとする海外株式、海外債券、商品市場など、内外の様々な指数に連動するETFが豊富にそろっています。
大きな特徴は、投資信託でありながらも株式と同じように証券取引所に上場し、取引時間中ならいつでも時価で売買できることです。売買手数料は株式と同じ料率で、一般的な投資信託よりも信託報酬がかなり低めの設定になっています。わずか数千円から投資できる点も初心者にとって嬉しいポイントですが、限られた資金で本格的な分散投資を容易に行えることも大きな魅力と言えます。
投資において重要なのは、リスクとリターンのバランスです。誰しもリターンは高いに越したことがないでしょうが、ひたすらそれを追求すれば、おのずとリスクも高くなってきます。極端な話、イチかバチかの賭けとなってしまうのです。リターンのみならずリスクの軽減にも目を配ることで、より安定的な成果を期待できるようになります。
そして、リスクを抑えるうえでの定石が分散投資なのです。1つの個別銘柄への一極集中の投資では、それが見込み違いであればストレートにダメージを被ることになりますが、分散しておけば他の銘柄の利益でカバーできる可能性があります。
より幅広い分散を心掛ければこうした作用がさらに働き、リスクの低減(収益の安定化)が図られていくわけです。そもそもETFは指数(市場の全体的な動き)に連動するので、個別銘柄に投資するケースよりもリスクは抑えられていると言えるでしょう。当然ながら、その反面として短期間のうちに資産が何倍にもなるような成果は望めません。大きく減らす恐れも少なく、「冒険はせず、着実に資産を増やしていきたい」と考える人には最適と言えます。
■ETFの特徴
ところで、ETFはなぜ、特定の指数に連動するようになっているのでしょうか? ETFの組成にはいくつかの手法があり、たとえばTOPIX連動型なら、その構成銘柄に近いかたちでバスケット(まとめ)買いを行ったり、あるいは同指数に連動する債券(リンク債)を購入したりといったアプローチが行われています。
2016年に入ってから中国経済の成長鈍化などを懸念して世界的に株式市場が波乱含みの展開となってきましたが、指数への幅広い分散投資はそういったリスクを抑える効果を期待できるでしょう。そして、安くなっている局面でも継続的に買い付けていけば、相場が回復した局面で大きな成果を期待できます。
例えば、2020年の東京オリンピック開催に向けて、日本国内ではインフラ整備などの経済活動がいっそう活発化していくことは必至の情勢です。そういったことを展望すれば、前述のTOPIXや日経平均株価はまだまだ上昇余地があると言えるかもしれません。また、TOPIXや日経平均株価に連動する銘柄をポートフォリオの中核に位置づけつつ、併せて業種別ETFも組み入れ、オリンピック特需が見込まれる建設・資産セクターの比重を大きくするなど、自分なりにアクセントをつけた運用も可能です。
TOPIX連動型上場投資信託についてご説明しました。日本経済の活性化を見込み、今のうちからETFを通じて投資しておくのも一考でしょう。低リスクな投資として、今後も目が離せません。