第6章 レバレッジETFについて

レバレッジETFとは?

レバレッジETFとは、そのETFが依拠している株価指数などの原資産が1動いたとき、2倍(2X)、3倍(3X)の動きをするように設計されているETFを指します。

レバレッジETFとは、2倍、3倍の動きをするETFを指す

レバレッジとは「てこ」の意味で、普通、借入、先物、スワップなどを利用することで「てこ」の原理のようにリターンを強調するわけです。

もしレバレッジETFが自分の思い通りの方向へ動けば、リターンは原資産の動きよりも誇張されます。

しかし逆の方向へ動けば、損は2倍、3倍になって跳ね返ってきます。

このことからレバレッジETFの利用に際しては、重々気を付ける必要があると思います。

レバレッジETF市場の概観

現在、世界には約240種類のレバレッジETFが存在します。レバレッジETFは全てのETF残高の2%程度に過ぎません。

また米国証券取引委員会(SEC)は、新しいレバレッジETFの承認に消極的だと言われています。

レバレッジETFにはロング(=買いから入る方法)とショート(=売りから入る方法)があります。

レバレッジETFには、大別してロングとショートがある

ロングETFを買った場合、相場が上昇すればETF価格が上昇し、儲かります。

ショートETFを買った場合、相場が下落すればETF価格が上昇し、儲かります。

レバレッジETFは、相場と同じ歩調で動くものを1X、相場より2倍の歩調で動くものを2X、3倍の歩調で動くものを3X……と言う風に表現します。

レバレッジETFには2倍、3倍などの種類がある

いまショート2X ETFの例で考えると、相場が1だけ上昇すると2倍損するわけです。

下はポピュラーなレバレッジETFの例です。

コード 銘柄名 平均出来高(百万株)
TNA Direxion Small Cap Bull 3X 405
SSO ProShares Ultra S&P500 2X 268
TBT TBT ProShares Ultra Short Barclays 20+ Treasury 2X 190
SDS ProShares Ultra Short S&P500 2X 182
UPRO ProShares UltraPro S&P500 3X 166

このうちDirexion Small Cap. Bull 3X(TNA)は米国を代表する小型株指数であるラッセル2000指数に基づいています。
レバレッジを使用し、ラッセル2000指数の3倍の動きをするように設計されています。このETFは費用比率が0.95%と高いです。

次にProShares Ultra S&P500 2X(SSO)はS&P500指数に基づいたレバレッジETFです。
S&P500指数の2倍動くように設計されています。このETFの費用比率は0.89%です。

ProShares Ultra Short Barclays 20+ Treasury 2X(TBT)はバークレイズ米国20年超財務省証券指数に基づいたレバレッジETFは、
インバース、すなわち原資産とは正反対(マイナス)の動きをするように設計されています。指数に対し-2倍動くように設計されています。このETFの費用比率は0.93%です。

ProShares Ultra Short S&P500 2X(SDS)はS&P500指数に基づいたレバレッジETFです。これもインバース、すなわち原資産とは正反対(マイナス)の動きをするように設計されています。S&P500指数が1上昇すると、同ETFは-2動きます。費用比率は0.91%です。

ProShares UltraPro S&P500 3X(UPRO)はS&P500指数に基づいたレバレッジETFです。S&P500指数が1上昇したら、このETFはその3倍上昇するように設計されています。費用比率は0.95%です。

レバレッジETFでやってはいけないこと

これからとても大事なことを述べます。

レバレッジETFはデイトレーディングなど、超短期でのトレーディング以外には使わないで下さい。ポジションを持ったままにすると、資産がどんどん目減りします。

レバレッジETFは、デイトレ以外にはつかわないこと。ポジションを持ちこさないで!

レバレッジETFは約束するレバレッジを出すために先物やスワップなどの手法を使います。そのロールオーバーのコストは、じわじわとパフォーマンスを蝕むのです。

レバレッジETFは先物のロールオーバーコストなどの商品を設計する上で避けて通れないコストが、じわじわとパフォーマンスを蝕む

毎日リセットされるパフォーマンスの約束

レバレッジETFは、昨日の引け値から起算した2X、3X(ベア型の場合は-2X、-3X)のパフォーマンスを約束するのではありません。
相場が動いた後の、今日の値段から起算した2X、3Xのパフォーマンスを実現しようと努力するだけです。

だから(あれっ? 相場がまんまと自分の予想した方向へ動いたのに、思ったほどパフォーマンスが出ないぞ!)ということは当たり前にあります。

レバレッジETFのパフォーマンスは、所期の設計性能より小さいことが多い

パフォーマンスの腐食という現象について

毎日、パフォーマンスの約束が、相場が動いてしまった後の値段からリセットされるので、パフォーマンスの腐食(corrosion)という現象が、必ず起きます。
もっと言えば、投資家が得ることのできるリターンは、目減りするということです。

ちいさなパフォーマンスの劣後は、何日も積み重なると「チリも積もれば山となる」で中長期的には大きなダウンサイドリスクになります。

いま、相場は上がったり、下がったりの振幅を繰り返しながら動いてゆきます。だから自分が投資している期間を通算して、それが右肩上がりになるか、右肩下がりになるかは、その時次第になります。

しかしレバレッジETFに投資した場合は、相場が上がろうが、下がろうが、パフォーマンスの腐食現象は、常に、必ずつきまといます。
これはレバレッジETFという商品の設計上の問題なので、避けて通れないのです。

レバレッジETFのパフォーマンス腐食現象は、ブル型だろうがベア型だろうが、必ずつきまとう

喩えて言えば、レバレッジETFのポジションを持ったままにするということは、F-1レーシングカーのエンジンをかけたままにしてアイドリングしているような状況だと思ってください。

なるほどレバレッジETFはパワフルでダッシュ力があるけれど、燃費も無茶苦茶悪いので、ぼんやりポジションを放置しておくといつの間にか資産が大きく目減りしているというわけです。

パフォーマンスの腐食は、レバレッジETFの場合、かならずつきまとう宿命だ

なお同様のことはVIX、インバースVIXなどのETFにもあてはまります。