雇用統計の結果

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■雇用統計

9月3日、雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数が思いのほか悪い数字でした。これで9月からテーパーが開始されるシナリオは無くなったと思います。大方の市場参加者が予想してきた、11月からテーパー開始という線が濃厚になったと思います。

■非農業部門雇用者数

8月の非農業部門雇用者数は予想75万人を大幅に下回るわずか23.5万人でした。

(出典:労働統計局)

新型コロナのデルタ変異株が蔓延したことが影響して、レジャーとホスピタリティー産業の雇用の成長が「0」になったことがその原因です。ちなみにレジャーとホスピタリティーの産業は過去半年間に渡って平均して毎月35万人もの雇用を創出してきていました。それがいきなりゼロになったのでコンセンサス予想を大きく下回ったのです。特にレストラン・バーの雇用は-4.2万人と大きく落ち込みました。

その他では小売業の雇用者数が-2.9万人も落ち込んだのが目を惹きました。

あとヘルスケア、介護などの雇用も-4600人でした。

以上の職種はいずれも人との接触が多い仕事であり伝染病の悪影響を受けやすいです。それ以外のセクターではあまり予想から大きく乖離する現象は見られませんでした。

■失業率

8月の失業率は予想5.2%に対し5.2%でした。

(出典:労働統計局)

■平均時給

8月の平均時給は17¢の上昇でした。

(出典:労働統計局)

 

このところ平均時給は高いペースで増加しています。8月は賃金水準が低いレストランや小売店などの雇用が振るわなかったことが平均値を押し上げることに一役買ったと思います。

いずれにせよ賃金インフレは連邦準備制度理事会(FRB)が最も警戒することです。なぜなら生産性の向上なき賃金インフレは「賃金価格スパイラル」という悪循環を引き起こしやすいからです。

■人種別失業率

人種別失業率では黒人の失業率だけが上昇しました。

(出典:労働統計局)

黒人の失業率が高くなってしまっているのはとても残念な展開です。

■学歴別失業率

学歴別失業率では中卒の失業率の改善が著しかったです。

(出典:労働統計局)

全体として社会的弱者が雇用機会にありつくという観点からは、一定の成果が既に現れたと判断して良いと思います。

■まとめ

今回非農業部門雇用者数が悪かった原因はひとえにデルタ変異株の影響だと言えます。これは伝染病の問題であり中央銀行の采配がまずかったというのとはまた別の次元の問題です。

一歩踏み込んだ言い方をすればデルタ変異株が蔓延しているかぎり、どれだけFRBが緩和を維持しても、もう「のれんに腕押し」で、雇用を刺激することはできないということだと思います。

それならばもうひとつの重要な問題であるインフレに対する備えを固めたほうが良いです。

9月テーパーの線は消えたけれど11月にはたぶんテーパーに踏み切るだろうと市場参加者の多くが結論付けた理由はここにあります。

マーケットは依然としてその瞬間を固唾をのみながら注視しているわけです。不確実性は引き続き我々の上にのしかかって来ています。